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夢幻水滸伝

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第七十七話 筑後騒乱その七

「だからでごわす」
「悠然と構えていますね」
「そしてでごわす」
 北原はさらに言った。
「おいどん達が渡れば」
「若しくは空から攻めれば」
「罠にかかるか返り討ちに逢ってでごわす」
「こちらがやられますね」
「そうなるでごわす、この川は」
 まさにと言うのだった。
「今は渡れないでごわす」
「渡りたくとも」
「そうでごわす」
「では」
「少し考えるでごわす」
 今はとだ、北原は純奈だけでなく又吉にも答えた。
「そうするでごわす」
「そうされますか」
「今は水軍も張り付いているでごわす」
 又吉が本来率いているこの者達もというのだ。
「そうして肥前の水軍と対峙しているでごわすしな」
「対岸を攻めるにも」
 又吉はさらに言った。
「幅が広く」
「砲も術もでごわすな」
「届きません、どんな術も」
「ではどうするかでごわすな」
「それで今はですね」
「考えるでごわすよ、陣の守りを固め」
 そしてというのだ。
「考えるでごわす」
「それでは」
「今から」
「軍議でごわす」
 それに入ると言って実際にだった。
 三人は軍議に入った、そこで北原は二人にすぐに言った。
「川を渡ることも空から攻めることもでごわす」
「難しいですね、この度は」
「守りはしかと固められています」
 二人もこう答えた。
「ですからどう攻めるか」
「この状況で」
「そうでごわす、これではです」
 どうにもと言うのだった。
「攻められないでごわすよ」
「ですが対峙したままでも」
 それでもと言う純奈だった。
「何にもなりません」
「その通りでごわす」
「ではどうすべきかといいますと」
「攻めるべきでごわすが」
「はい、しかしですね」
「空も川も駄目でごわす」
「ではです」
 ここで言ったのは又吉だった。
「別にとなりますが」
「空、そして川以外からでごわすが」
「そうなりますと」
「海でごわすか」
 北原はその目を鋭くさせて又吉に応えた。
「そこからでごわすか」
「どうでしょうか」
「今おいどん達は水軍ばないでごわすが」
「確かに。ですが」
「空船でごわすな」
「あれに乗り」
 そしてというのだ。
「迂回してです」
「海の方からでごわすな」
「敵の後ろに回り込み」
 そうしてというのだ。
「攻めてはどうでしょうか」
「その手があったでごわすな」
「これも空からの攻めになりますが」
「正面から攻めるのではなく」
 純奈は又吉に顔を向けて述べた。 
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