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誇りにすべき父

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第五章

「秘かに術で姿を消してな」
「そのうえで、ですか」
「そなたの父に協力することになった。そしてそなたの父が直接率いるパーティーと共にこの祭壇まで来て霊酒を手に入れた、だがな」
「それでもですか」
「そなたの父の部隊で生き残ってこの祭壇まで来たのはそなたの父だけでだ」
 それでというのだ。
「霊酒を手に入れたがここで突如地震が起こり」
「その地震ですか」
「祭壇も崩れわしもな」
「瓦礫の下敷きになったのですね」
「わしはいいと言ったが」
「霊酒をですか」
「わしに飲ませてくれた。何時か瓦礫の下から救い出してくれる者が出て来るだろうとな。こうしてわしは不老不死にもなり」
 そうなってというのだ。
「生きていられた、だがそなたの父は」
「どうなったのでしょうか」
「既に手傷を深く負っていた、またここに来ると言って部屋を出ようとしたがこの祭壇には実は落とし穴があった」
「そこじゃな」
 ここでだった、正岡は。
 仏壇のある玄室、今自分達がいる部屋の出入り口の少し左手に術でそこを見た。まさにそこにだった。
「大怪我てふらっとなってか」
「誤って落ちた、酒を持ったままな」
「そうでしたか」
「この部屋に辿り着いた兵はいなかった」
「どの人も結局何とか逃げるので必死で」
「地震もあったせいだ、混乱したのだろう」
 そのこともあってというのだ。
「無理もない、モンスターに加えて災害となるとな」
「そうした事情があったのですか」
「そしてだ」
 大蛇はセンにさらに話した。
「落とし穴の中にな」
「父はいますか」
「骨があれば寿命でないならな」
「生き返らせることが出来て」
「霊酒も手に入る。どうだ」
「見てみます」 
 落とし穴の中をとだ、センは大蛇に即答で返した。
 そして実際に落とし穴を覗いてみるとだった、そこには東南アジアの武具に身を包んだ蛙人の骸があった。左手で身体の前に甕を持っている。
 その亡骸を見てだ、センはその場に崩れ落ちて泣きながら言った。
「父さん・・・・・・」
「死んでおるな」
「はい・・・・・・」
「今から亡骸を引き揚げてじゃ」
 正岡はセンの後ろにそっと来て話した。
「そしてじゃ」
「そのうえで、ですね」
「そうじゃ、助けるぜよ」
 そうすると言うのだった。
「今からのう」
「そうして頂けますか」
「ああ、復活の術を使うんじゃ」
 こう言ってだ、正岡と織田はサイオニックの術で亡骸を落とし穴の中から出してだった。そうして復活の術を使ったが。
 亡骸は蘇らなかった、大蛇はそれを見てセンに言った。
「どうやらな」
「はい、そうですね」
 センも大蛇に応えた。
「それでは」
「うむ、ではな」
「今から父を供養します」
「そうするか」
「よし、わし等も手伝うぜよ」
「そうさせてもらいます」 
 正岡と織田も言ってきた。 
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