誇りにすべき父
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第四章
「この通り祭壇が壊れてしまってな」
「そのせいでか」
「そうだ、モンスターが多く出没しているのだ」
「ならすぐ祭壇、御仏じゃから仏壇じゃな」
「そうなりますね、では」
「仏壇をなおしてじゃ」
正岡は織田にも応えて述べた。
「ここのモンスターがいなくなるかのう」
「減る様にしましょう」
「そりゃ仏壇が壊れたらモンスターも出るぜよ」
「その通りですね。では」
二人とセンはすぐに仏壇をなおしにかかった、二人はここでも術を使いそして僧侶である織田の仏教への知識も効を奏してだった。
仏壇はすぐに元に戻った、それと共にだった。
三人で大蛇を瓦礫の下からも出した、瓦礫もまた仏壇の一部でありそこをなおすとなるとそうなるのは当然であった。
そして祭壇の修復と大蛇の救出という力を使うパズルと言うべき仕事を終えた三人の中にいるセンを見てだ、大蛇は言った。
「そなたは十年前ここに来た」
「まさか」
「あの隊長の息子か」
「はい、実は父のことを探しにです」
それでとだ、センは大蛇に答えた。
「もう駄目だと思いますが骨を見付けて」
「まだ寿命でないなら助けてか」
「はい、そして寿命なら」
その時のことは実はセンの念頭にある、流石に十年も経っていればそれが来ていておかしくないと思っているのだ。
「その時は」
「わかった、しかしな」
「しかしといいますと」
「まずはわしが何故そなたの父のことを知っているかを話そう」
そこからとだ、大蛇はセンに話した。正岡と織田もその場にいる為この話を自然に聞くことになった。
大蛇は静かにセンに語りはじめた。
「わしは外に子がおる」
「お子がですか」
「今も時々ここに会いに来てくれる」
多くのモンスター達を退けてというのだ。
「立派な子だ、だがその子がとてつもなく大きなオオガラスに襲われていた」
「オオガラスというと」
「わかるな、我等の天敵だ」
蛇の天敵は烏だ、他には孔雀や梟も天敵であり狐や狸、穴熊といった生きものにもよく狙われて襲われる。
「その天敵にアンコールワットの近くで襲われてな」
「そこをですか」
「そこをアンコールワットの地下迷宮に入る為に来て隊長自ら一人で偵察に出ていたそなたの父に助けられた、その縁でわしはそなたの父に協力することにした。だがこのことはそなたの父が率いる部隊には内密だった」
「それはやはり」
「わしは蛇だ、そなたの父はよくとも部隊の兵達が恐れるからな」
大蛇はこのことを考えてだ、そうしてだったのだ。
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