八条学園騒動記

「いないかしら
「このお店でもないね」
「ええ、ないから」
　それでというのだ。
「面白そうでもね」
「ないんだね」
「合うと思うけれど」
　七美は今二人がいる店のすぐ傍のごみ箱の傍でかき氷を食べつつ一緒に食べているジョンに話した、そうしながら店を見た。
「冒険になるみたいだから」
「しないんだね」
「どのお店もね」
「和洋折衷で面白いと思うけれど」
「それでもしないわね」
「宇治はしても。美味しいよ」
　その宇治のかき氷を食べつつだ、ジョンは答えた。
「宇治もね」
「そうなのね」
「やっぱりお抹茶って甘いものに合うよ」
「お菓子にしても」
「結構ね、あとね」
「あと？」
「一つ思うことは」　
　それはというと。
「このままいくとね」
「あっ、グリーンティーね」
「そうなるよね」
「そうね、よく冷えたね」
「グリーンティーみたいになるね」
「そうよね、そう考えたら」
　実際にとだ、七美は今は苺のかき氷彼女が愛しているそれを食べつつジョンに対して笑顔で話した。
「合わない筈がないわね」
「そうだね」
「そのことから考えてもね」
「だから宇治があるんだね」
「そうね、それで宇治の上にね」
「生クリームとかも」
「置いたりするのね」
　考える顔になってだ、七美はジョンに応えた。
「よくわかったわ」
「あらためて」
「ええ、じゃあかき氷食べたら」
「その後は」
「何か予定ある？」
　七美は食べつつジョンに顔を向けて尋ねた。
「午後の授業まで」
「いや、これがね」
　ジョンは七美のその問いにすぐに答えた。
「ないんだ」
「そうなのね、実はね」
「七美もなんだ」
「そうなの、特にね」　
　これといってというのだ。
「なくて」
「お互いそうなんだ」
「じゃあこうした時は」
　七美はジョンに真剣な顔で述べた。
「あれね」
「あれっていうと」
「だから、クラスに帰って」
　そうしてというのだ。
「ぐっすりとね」
「寝るっていうんだ」
「これでしょ」
「お昼寝をしてそうして」
「午後に備えるのよ」
「所謂シェスタだね」
「シェスタはじっくり寝るけれどね」
　多くて四時間は寝るという、イタリアやスペインの風習でそうして暑さから身体を守り休めるのだ。
「まあ少しでもね」
「寝ると違うからね」
「だからね」
「何もすることがないと」
「ここはね」
「寝るんだ」
「そうするのが一番よ、だってね」
　七美はジョンにさらに言った。
「午後の授業で寝たら駄目だし部活もね」
「それもあるから」
「そう、寝てね」　
「午後に備えるんだね」
「そうするのがね」
　本当にというのだ。
「一番だから」
「寝るんだ」
「そうしようと思ってるけれど」
「ううん、じゃあ僕も寝ようかな。けれど」
　ジョンは考える顔で七美に言った、二人共もうかき氷の最後のシロップと溶けた氷が混ざっているのを飲んでいる。