八条学園騒動記
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第四百九十五話 カフェインの強さその六
「苺と宇治を」
「あいよ」
そのコーカロイドのおじさんは一言で答えた。
「それじゃあね」
「お願いします」
「ちょっと待ってなよ」
この言葉と共にだった、おじさんはすぐにだった。
かき氷を作った、機械で砕かれた氷の上にそれぞれのシロップをかけて出した。七美はその両方を受け取り。
そして宇治の方をジョンに差し出して言った。
「あとでコイン渡してね」
「うん」
そのコインを一枚出しての返事だった。
「これでいいかな」
「いいわ、じゃあね」
「これを食べて」
「うん、そして」
「実際の抹茶の味を楽しむといいんだね」
「そうしたらいいわ、けれど宇治だとね」
かき氷のそれだと、というのだ。
「目は冴えないわよ」
「そうなんだ」
「そう、お菓子だとね」
それで口にしてもというのだ。
「飲むよりは効かない気がするわ」
「そうなんだ」
「だってお抹茶でも」
それでもというのだ。
「沢山入れてないから」
「あくまで味付けで」
「むしろお抹茶のお菓子を食べるより」
「飲む方が目が冴えるんだね」
「あと食べて目が冴えるのはチョコね」
「ああ、カフェインで」
「目が覚めるわよ」
チョコを食べると、というのだ。
「そうしたらね」
「じゃあそれも」
「いいから。ただね」
「ただ?」
「かき氷には合わないわよ」
「ああ、それはね」
チョコレートとかき氷は合わない、それでジョンも納得した顔で頷いた。
「わかるよ」
「そうでしょ、私も見たことがないわ」
「というかかき氷って要するに氷だから」
それでというのだ。
「合う筈がないね」
「チョコが水っぽくなって」
「かなりね」
「まずいわよね」
「相当にね」
実際にというのだ。
「簡単に想像がつくね」
「だから誰もしないし」
「食べないことね」
「そうだね、僕もね」
ジョンも自分から話した。
「それはしないよ」
「チョコレートならね」
「氷、お水じゃなくて」
「他のがいいわよ」
「そうだね、ミルクとか紅茶とか」
「そう、一番合うのがコーヒー」
「コーヒーはかき氷に合いそうだね」
ジョンは七美にコーヒーと聞いてすぐにぱっと明るい顔になって述べた、言ってすぐに気付いたのだ。
「そっちは」
「アイスコーヒーね」
「そう、アイスコーヒーだから」
それでというのだ。
「合いそうだね」
「そうね、しかし」
「しかし?」
「これをやった人は」
コーヒーにかき氷の組み合わせはとだ、七美は考える顔で述べた。二人でそんな話をしながら店を出てだった。
外で食べる、それで言うのだった。
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