八条学園騒動記
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第四百九十五話 カフェインの強さその五
「暮らしにくいところはあるらしいけれど」
「熱帯で暑いのは仕方ないね」
「けれどキャンバスライフは楽しくて」
それでというのだ。
「アルバイトの方もね」
「実入りがよくて」
「充実してるって言ってるわ」
「そんなにいいんだね」
「そうみたいよ、何ていうか」
七美はジョンにこうも話した。
「そう考えるとアイスもね」
「馬鹿に出来ないね」
「そうよね。私もアイス好きだけれど」
「僕もだよ」
「こっちもいいわね。けれどね」
「かき氷もだね」
「いいから」
それでというのだ。
「一度食べてみたらいいわ、この学園のね」
「じゃあね」
「うん、食べてみてね」
「そうしてみるね」
こう答えてだ、ジョンは頷いてそうしてだった。実際にこの日の昼に学園のかき氷屋に行ってみた。
すると彼が入って何を注文しようかと考えていた時に七美も来た、それですぐに七美に対して尋ねた。
「あれっ、お昼は」
「そう、あんたに話してるとね」
それでとだ、七美はジョンのその問いに答えた。
「食べたくなって」
「それで来たんだね」
「お昼御飯を食べた後にね」
「デザートでだね」
「食べに来たら」
「僕がいたんだね」
「そうなのよ」
七美から見ればそうなるというのだ。
「これがね」
「そうなんだね」
「そう、それとね」
「それと?」
「あんた何注文するの?」
七美はジョンにかき氷の具体的なことも聞いた。
「それで」
「うん、実は今考えてるんだ」
「私はもう一択よ」
七美は既に決めていた。
「やっぱりね」
「苺だね」
「うん、苺しかないわ」
七美にとってはそうだというのだ。
「もうね」
「やっぱりそうだよね」
「今だってね」
「苺だね」
「それを注文するわ」
「けれど僕はね」
ジョンはそのメニュー、店のレジの上にハンバーガーのチェーン店のそれの様に書かれて画像まであるそれを見つつ述べた。
「どれがいいか」
「考えていて」
「決まらないんだ」
「だったらよ」
それならとだ、七美はジョンに言った。
「これまでお話した通りにね」
「あっ、苺だね」
「それは私だから」
笑ってそれは否定した。
「だからね」
「そこは違うんだね」
「また別よ。お抹茶のお話が出たから」
「宇治だね」
「それにすれば?」
七美が勧めるのはこちらだった。
「ここはね」
「そうだね、宇治か宇治金時か」
「宇治金時は小豆付きよ」
「僕今は小豆はいいから」
「じゃあ宇治ね」
「それにするよ」
「じゃあ決まりね、すいません」
七美から店員さんに言った、初老のごま塩頭で和服を着たまさに和風といった感じの外見だが目が青く鷲鼻である。
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