夢幻水滸伝
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第七十六話 引き分けの後でその十二
彼等が大飯を食うのを熊本城の天守閣の最上階から見てだ、純奈は自分と共にいる兵達に対して言った。
「明日攻めてくるばい」
「そうですね」
「飯を炊く煙が多いですし」
「そして誰もがふんだんに食ってます」
「飯をそれだけ食うと」
「それなら」
「戦ではばい」
まさにというのだ。
「攻めるということばい」
「はい、我々もそうですし」
「明日はですね」
「派手に攻めてきますね」
「そうしてきますね」
「攻めてくるなら来るばい」
純奈は強い声で言った。
「相手をしてやるばい」
「この熊本城の堅固さなら」
「あれだけの兵で攻めてきてもです」
「充分退けられます」
「空から来ても」
「そうばい、そこにうち等もいるばい」
純奈は自分達のことにも言及した。
「薩摩っぽも強いたいが肥後モンも負けてないばい」
「その通りです」
「こっちも強かとです」
「薩摩モンとどれだけやり合ってきたか」
「その強さば見せちゃります」
「武具も兵糧も充分あるばい、そして攻めば退けて」
純奈は既にその先のことを考えていた、それで言うのだ。
「そこからばい」
「周りの城や砦に連絡して」
「そして負けた連中を攻める」
「そうしますね」
「そうばい、その時はうち等もうって出るばい」
籠城している自分達もというのだ。
「そうするばい」
「明日ですね」
「明日それが決まりますね」
「薩摩と肥後の戦が」
「まさに」
「明日退けてそこからこっちが攻めて散々に打ち破ってたい」
薩摩の軍勢に決定的な打撃を与えてというのだ。
「そうしてばい」
「そこからですね」
「薩摩の連中ば攻めて」
「そして攻めて」
「そうして勝ちますね」
「そうするばい」
こう言って実際にだった、純奈は明日薩摩の軍勢を退けた後で反撃に出る用意も進めだした。そして自分達もだった。
大飯を食った、そうして朝になるとだった。
北原は又吉と共に自分達が軍勢の先頭に立ってだった、そのうえで。
熊本城の正門に突っ込んだ、そこにいる肥後の兵達は二人と二人に続く薩摩の兵達を見て眉を顰めさせた。
「突っ込んで来る!?」
「まさか」
「こっちは門の上に兵を置いてるんだぞ」
「門の傍の櫓に」
「攻められるに決まってるだろ」
自分達にというのだ。
「鉄砲や弓矢、術で」
「実際にその準備もしているんだぞ」
「そこに来るか?」
「何を考えているんだ」
彼等はいぶかしんだ、だが正面から攻めて来るならそれならばだった。
彼等は迎え撃とうとだ、身構えたが。
北原は自分が持っている金棒を一気に振るってだ、そうして。
正門に衝撃波をぶつけた、間合いはかなり離れていたがその衝撃波は凄まじい強さで正門を撃った。
すると正門はかなり壊れた、北原はその正門にさらにだった。
駆けつつ金棒を振るって門を壊していく、又吉は門の周りの櫓や壁にだった。
自身の金具である治金丸を振るって津波の様な水を放って壊す、そうしてだった。
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