夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第七十六話 引き分けの後でその十一
「空からも術で一気に中に入ることも」
「出来ないとなると」
「どうするかですか」
「堀も深いでごわすな」
北原は城を囲むそちらの話もした。
「掘って下から入るにしましても」
「その攻め方もありますが」
武田勝頼が行った城攻めの方法だ、中国でも袁紹がこの攻め方を行っている。
「しかしです」
「それも難しいでごわすな」
「そうかと。では」
「ふむ。あらゆる攻め方を考慮しているでごわすな」
「それが熊本城です」
「では一気に攻めるならでごわす」
それならとだ、ここで北原はふと閃いた。それで又吉にこう言った。
「もうでごわす」
「もうとは」
「考えても無駄でごわす」
城攻め、それにだ。
「ならばでごわす」
「一気にですか」
「そうでごわす」
「我々が先頭に立ってですね」
「二人で門も櫓も壊してでごわす」
城を守るそうしたものをというのだ。
「そしてでごわす」
「突き進みますか」
「石垣や壁も邪魔ならでごわす」
「神具や術で壊して」
「そして進むでごわすよ」
「もう一直線ですね」
「堅城は考えて造られているでごわす」
人の知恵、それを結集させてだ。人というものは必要なものに対して知恵を向けるものでそれは軍事についてもなのだ。
「だからでごわすよ」
「あえて考えずに力押しで行くのも」
「手ではないでごわすか」
「術を弱める結界もありますが」
この世界にはそうした結界もある、そうして城や重要な場所を守っているのだ。
「しかしですね」
「その結界を打ち破るだけのでごわす」
「僕達が強い術を放って」
「そうして破るでごわす」
「力で強引に押し入りますか」
又吉は北原の話をここまで聞いて述べた。
「そうですか」
「どうでごわすか」
「強引ですね、しかし熊本城は実際にです」
「生半可な堅城ではないでごわすな」
「多少の知恵では攻め落とせません」
「だからもう開き直ったでごわすが」
「それも手ですね」
又吉は考える顔になって述べた。
「では」
「それで行くでごわすか」
「城にいる敵兵達も全てですね」
「力で攻めていくでごわすよ」
そうして破っていくというのだ。
「勿論おいどん達の後ろにばいる兵達も攻めるでごわす」
「僕達に続いて」
「攻める数もつけるでごわす」
自分達二人だけでなくというのだ。
「そうするでごわす」
「では」
「全員まずは食うでごわす」
食事、それを摂れというのだ。
「夜に。そして次の朝は日の出と共に起きてでごわす」
「そしてですね」
「軽く食ってでごわす」
「そこからですね」
「総攻撃でごわすよ」
今言った通りの攻め方でいくというのだ。
「いいでごわすな」
「わかりました、では」
「知恵に力で向かうでごわす」
こう言ってだ、北原はその夜自ら大飯を食った、薩摩から送られてきている薩摩芋を焼いてふんだんに食う、そして。
ページ上へ戻る