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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百九十一話 予言を読んでその五

「最初から。起こる前にね」
「言えばいいですね」
「そう言う人いないから」
 見事なまでに誰一人例外でなくだ、ああいう手の本を書く人や言う人はそうだから考えてみると嫌にもなる。人間のそうした一面を感じて。
「心ある人は予言されていたとか言うなら」
「それ以前にですね」
「救助活動に言ってるよ」
「そうよね、予言者って動かないのよね」
 美沙さんも言ってきた。
「震災があってその震災は予言されていたとか言って」
「自分は言うけれどね」
「事前には言わないし」
「起こっても救助とかにはね」
「絶対に行かないのよね」
「自分の居場所からテコても動かないよ」
 文字通りにそうだ。
「じゃあ困っている人達を助けに行こうとかね」
「そうした発想にもならないわね」
「箸が転がっても人類滅亡とか言うのに」
 震災だの宇宙人だの影の世界政府だの三百人委員会だの言うがだ、一体世界は何種類の滅亡を同時に経験するのだろうか。
「そうしたことはしないんだよね」
「事前に行ったり救助活動とかは」
「何があってもね」
「一九九九年はずっと言っていましたね」
 小夜子さんはノストラダムスの代名詞を言ってきた。
「一九九九年になるまで」
「なってから言わなくなったよ」
 そして日本で予言のジャンルが急に弱くなったという。
「一切ね」
「そうですか」
「実際に何も起こらなかったから」
 本当に見事なまでだ。
「むしろその前の年に日本じゃ凄いことが起こったし」
「その凄いこととは」
「横浜ベイスターズが優勝したよ」
 小夜子さんにこのことを話した。
「当時三十八年ぶりにね」
「それは確かに大事件ですね」
「うん、甲子園で胴上げだったよ」94
 言うまでもなく相手は阪神だ。
「それがあったよ」
「あのチームが優勝しましたか」
「その翌年、一九九九年はホークスが優勝したよ」
 当時の親会社はダイエーだった。
「こちらは二十六年ぶりにね」
「あのチームずっと低迷していたのよね」
「そうでしたね」
 二人で僕にこのことを言ってきた。
「最下位も何度も経験して」
「そこからなのね」
「この年から強さが定着したんだよね」
 そこからは何度も優勝している、ただしクライマックスではこの制度が出来てから最初は結構負けている。
「そうした年だよ」
「そちらの予言は」
「なかったよ。というか阪神優勝とかもね」
 こうした予言もだ。
「ないし大抵悪いことばかり予言されているか」
「人類滅亡だの」
「読んでいて鬱になるね」
「そして外れていますか」
「そうなんだ」
 このことが極めて重要だ。
「これがね」
「では読んでも」
「ネタとしては楽しめるよ」
 古本屋で昔の予言の本を読んでだ、ブックオフや駿河屋のネット通販で買ってもいい。とにかく昔の本を買えばいいのだ。
「それだけでね」
「そうですか」
「何ていうかね」
 それこそだ、予言というものは。
「あんないい加減なものはないよ」
「人を驚かせて怖がらせて」
 美沙さんも言ってきた。 
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