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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百九十一話 予言を読んでその六

「実はっていうのね」
「そうした代物ですね」
「そうみたいだね、それで予言愛好家はね」
 僕は二人にあらためて話した。
「もう人類に滅亡したくて仕方ないんだ」
「人類がって自分もそうなるのに」
「それでもですか」
「うん、本当に何でもかんでもだから」
 それこそ何の関係もないはじまりからでだ、話は何があってもどんな奇天烈な展開でも人類滅亡に話がいく。
「人類滅亡になるからね」
「ご自身だけ滅亡していれば」
「そうも思うけれどね」
 正論だ、そんなに滅亡したいと自分だけでそうなればいいのにだ。
「喚いて叫ばずにはいられないんだ」
「人類は滅亡すると」
「ま、まさかとか言ってね」
 それで喚きだすのだ。
「人類滅亡の序曲だ、だから」
「おかしな人ですね」
「冗談抜きでおかしいよ」
 笑える意味でも狂気という意味でもだ、正直こうした人達こそを電波と呼ぶべきだと確信している。
「覚醒剤やってる感じだから」
「あれやったら幻覚見えるのよね」
 美沙さんが覚醒剤と聞いて言ってきた。
「そうらしいわね」
「冗談抜きで電波受信するらしいしね」
「そうよね、自分で思い込んで」
「もう一週間寝ないでいい位に覚醒するけれど」
 だから覚醒剤というのだ。
「それって身体のエネルギー引き出してるだけだから」
「エネルギーをね」
「それを大量消費しているだけだから」
 本当にそれだけだ。
「カフェインよりもね」
「ずっときついっていうわね」
「だから幻覚も見るけれど」
「予言マニアにしても」
「やっぱりね」
「覚醒剤打ってる感じなのね」
「そんな感じだよ」
 冗談抜きでそんな風だ、しかも周りもだ。
「それで喚いて子供どか信じるから」
「悪影響もあるのね」
「そうなんだ、だからそうした人はね」
 その予言マニアにして人類滅亡マニアと言うべき人はだ。
「物凄く迷惑でもあるんだよね」
「世が世ならですね」
 小夜子さんはここでこう言った。
「国家騒乱罪なりで逮捕ですね」
「ああ、戦前とか」
「そうなりますね」
「ならなかったと思うよ」
 僕は小夜子さんにそれはないと答えた。
「日本って実はそうした人は捕まらないんだ」
「そうなんですか」
「魔女狩りの時代ならともかく」
 その頃の欧州ならまず異端審問にかけられていた、そして酸鼻を極める拷問の後で火炙りというフルコースだ。
「共産主義の国とか革命の頃もそうだろうけれど」
「日本ではですか」
「そうはならないよ」
「そうですか」
「東条英機も憲兵隊を使っていたけれど」
 それを権力基盤としていたけれどだ。
「下らないことは気にするなって言っていたし」
「下らないことですか」
「要するに多少の異論は認めてたからね」
 つまり共産主義や戦争反対という意見やそれに触れそうなものに警戒していただけだった、戦前の日本の言論統制は確かに存在していたけれど文章も伏字で消していたりで後のGHQよりはましだった。
「それにそうした人はね」
「おかしな人は」
「おかしな人だってことでね」
 狂人という意味でだ。 
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