| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百九十一話 予言を読んでその四

「はい、私もそう思います」
「やっぱりおかしいよね」
「何故ノストラダムスは予言しなかったのか」
 アンリ二世亡き後のフランスの一連の暗殺劇や虐殺や内戦をだ。
「王朝交代なぞです」
「その国にとって大事件だよね」
「ですから」
「それを何も予言しないとか」
「フランスの予言者が」
「それでヒトラーとかは予言してるし」
 挙句にはフセインもだ。
「おかしいよね」
「はい、言われてみますと」
「サン=バルテルミーの虐殺なんか大惨事なのに」
 冗談抜きでパリが血で染まり死体で埋まった程だったという、しかもそこから混乱がフランス全土に及んだ。
「王様に予言しなかったのかな」
「王妃様にも」
 その王妃が虐殺の中心人物だったのにだ、当初は新教徒の主な有力者だけを暗殺して終わらせるつもりが旧教徒側が暴走したらしい。
「言わなかったのかな」
「言っていないとおかしいですね」
「どう考えてもね」 
 王様の死まで予言していたのにだ。
「変だよ」
「それでいてフランス革命は予言していますね」
「ナポレオンのことは細かくね」
 その台頭から没落までだ。
「考えれば考える程ね」
「おかしいですね」
「そうだよね」
「まあ予言はです」
「予言は?」
「はい、中国宋代のお話ですが」
「ああ、何か予言の本が流行していてね」
 僕もこのお話は知っていて小夜子さんに応えることが出来た。
「それで世の中が混乱していて」
「当時の皇帝がその本をばらして適当に集めて」
「その本を都にばら撒いたらね」
「予言の騒動は終わったそうですね」
「勿体ぶったことを書いていたけれど」
 予言の本は絶対そうだ、もう何でもない様な文章をご大層に恐れでもしているかの様な文章で説明している。
「それでもばらばらにして広めただけで騒動が終わるなら」
「大したことはないですね」
「しっかりした本はばらばらにしても読んでいれば何処がどうなるかわかるよ」
 ストーリーや論理がわかる、あくまでしっかりした本ならだ。
「けれど何を書いているかわからない様な本はね」
「ばらばらにするとですね」
「本当に訳がわからなくなるから」
「それまでの本ですね」
「それでその皇帝もそうしたんだよ」 
 確か宋の太祖だった、その皇帝は。中国では相当偉大な名君とのことだ。
「そうしたらね」
「もう即座にだったそうですから」
「予言とかはね」
「ああした本はですね」
「大抵インチキでね」
 しかもだ。
「中身がないものだよ」
「そしてよく考えると矛盾していますね」
「古本屋で読んだ予言の本とか凄いから」
「予想が外れていてですか」
「物凄い外れているのばかりだからね」 
 もう壮絶な位にだ。
「そうなっているからね」
「だからですか」
「もう予言はね」
 本当にこう思う。
「信じるものじゃないよ」
「惑わされるからですね」
「うん、震災とか予言されていたなら」
 そして予知していたならだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧