夢幻水滸伝
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第七十六話 引き分けの後でその四
「その力で、でごわす」
「さらにですね」
「北上していくでごわす、九州の南の次は」
「何処でしょうか」
「筑後から肥前でごわす」
そうして進んでいくというのだ。
「そして最後にでごわす」
「福岡ですね」
「即ち豊前と豊後、筑前でごわす」
美鈴が掌握しているこの国々だというのだ。
「そう考えているでごわす」
「そうですか」
「これでどうでごわすか」
「よいかと」
又吉は北原に真顔で答えた。
「戦略として」
「問題ないでごわすな」
「はい、折角今福岡が救助と治水で動けなくなりました」
「それならばでごわすな」
「その間にです」
「おいどん達は肥後をでごわすな」
「完全に掌握し林さんを降し」
又吉は純奈のことも話した。
「そしてです」
「そのうえで筑後からでごわすな」
「肥前を攻めましょう」
「そしてでごわす」
「肥前の石川さんもですね」
「こちらに入れるでごわす」
降してからというのだ。
「そうするでごわす」
「そうされますね」
「長崎の港も手に入れるでごわすよ」
北原は九州一の貿易港であるこの港の話もした。
「あそこは太平洋各国ひいては欧州とも貿易を行っていてでごわす」
「多くの富を生み出していますね」
「だからでごわす」
「是非あの港も手に入れ」
「おいどん達の力とするでごわすよ」
「それがいいかと。琉球と長崎で貿易を行えば」
「凄い富が手に入るでごわすな」
北原は自身に語る又吉に鋭い目で応えた。
「そうでごわすな」
「間違いなく」
「その富で産業を発展させてでごわす」
得た金を内政に注ぎ込んでというのだ。
「軍勢もでごわす」
「武具をよくしていきますね」
「刀も鉄砲も槍もでごわす」
その全てをというのだ。
「強くしていくでごわす」
「それがいいかと。では」
「肥後攻めの準備をするでごわす」
このことを命じてだった、北原は自ら戦の用意を進めた。そしてそのうえで肥後攻めに入ったのだが。
熊本城の純奈はその話を聞いて自分に仕える肥後の者達に言った。
「では戦ばい」
「はい、敵が攻めてくるならですね」
「そうしますね」
「そうしてたい」
肥後の者達にさらに話した。
「守り抜くばってん」
「わかりました」
「では」
「うちも出るたい」
為朝の弓を手にしてだ、純奈はこうも言った。腰にはもう一つの神具である赤木柄がある。
「そして戦ってたい」
「薩摩隼人達を退ける」
「そうしますね」
「その通りたい、そして何かあれば」
「その時はですね」
「この熊本城にですね」
「籠ってたい」
籠城、それを行ってというのだ。
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