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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百九十話 翌朝に話したことその七

「しかも勧善懲悪の感じだし」
「ダルタニャン達が善玉で」
「敵役もはっきりしてるしね」
 もっともこの敵役は完全な悪人ではない、ただし他国の人達は完全な悪役として書かれていることはお約束か。
「そう思うとね」
「勧善懲悪で」
「それでね」
 そうした作品だからだというのだ。
「時代劇に思うけれど」
「三銃士は」
「うん、サスペンスもあるしね」
「鉄仮面とかだね」
「映画にもなってるしね」
 アルトネ君もこの映画の話をした。
「仮面の男ね」
「あの映画だね」
「あの映画原作とは違うけれど」
 デュマが書いたそれとはだ。
「けれど面白かったよ」
「僕も観たけれど面白かったよ」
「うん、あの作品の最後も好きだよ」
「ダルタニャンが死ぬけれど」
「それでもハッピーエンドだったからね」
「確かあれだよね」
 僕はアルトネ君に考える顔で尋ねた。
「三銃士ってアトスとポルトスが死ぬんだよね」
「三銃士の時にね」
「アラミスだけ生き残って」
「ダルタニャンも死ぬんだよ」 
 主人公もだ。
「史実通り戦死してね」
「あっ、戦死だったんだ」
「そうだったんだ」
「へえ、病死じゃなかったんだ」
「ああ、そこ間違えてたんだ」
「違ったんだね」
 僕の身の回りもこのことは知らなかった、ダルタニャンは五十代で病死したとばかり思っていたが違った。
「戦死だったんだね」
「当時フランスは戦争ばかりしていてね」
 欧州自体がひっきりなしにそうしていた、特に当時のフランスはルイ十四世の政策でやたらとそればかりだった。
「その中でなんだ」
「死んだんだね」
「元帥にまでなったけれど」
 一介の銃士からだ。
「最後は戦死だったんだ」
「そうだったんだね」
「仮面の男でも死んでるけれどね」
 その結末の話をまたした。
「三銃士は生き残って」
「あの結末意外だったよ」
 アトスとポルトスが死ぬと思っていたからだ、原作での先入観はあの映画ではまさかという場面で裏切られた。
「ダルタニャンが死ぬなんて」
「僕もそうだったよ」
「しかも王様がね」
「実はダルタニャンの子供だったとか」
 最初に仮面を被せられていたルイ十四世はだ、後に最初に玉座に就いていた冷酷で傲慢な兄弟が逆に送られる。
「あれはまさかだったね」
「そう、まあ鉄仮面の正体は諸説あるけれど」
「ダルタニャンが父親っていうのはね」
「あの映画だけだよ」
 本当に他にはないと思う。
 そしてだ、ここでアルトネ君はこう言った。
「まあ鉄仮面が何者だったかは謎のままだけれど」
「フランスの歴史上最大のミステリーだよね」
「その一つと言われているけれど」
「まだ確かなことはわかってないよね」
「証拠が残ってないから」 
 それも一切だ。
「お墓があれば別だけれどね」
「お墓の遺体を調べれば」
「DNA鑑定をしてね」
 このことが倫理的にどうかということは置いておいてだ、僕も遺体を調べることはどうかと思う時がある。天皇陵はそれ以上にだ。 
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