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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百八十九話 武力と暴力その六

 それでいて自分の責任は言わず相手の責任ばかり言う、こんな人間こそ悪辣漢と言うべきじゃないだろうか。
 それでだ、僕は畑中さんに言った。
「人間と呼ぶにも」
「値しませんね」
「そう思いました」
 実際にだ。
「そこまで」
「私もです。彼等は今も責任を取らずです」
「同じことをしているんですね」
「そうです、他人の責任追及ばかりしています」
「恥知らずもいいところですね」
「人は恥を恥と思わなくなった時が最も怖いのです」
 畑中さんは僕に恐ろしい事実を話してくれた。
「その時に人は本当に腐敗します」
「腐るんですか」
「その時に最も恐ろしい腐敗がはじまるといいます」
 恥を恥を思わなくなったその時にというのだ。
「彼等こそです」
「その最も恐ろしい腐敗の中にいるんですか」
「そうした人達です」
「そうした人達が長い間日本にいるんですね」
「はい、知識人やマスコミ関係者に」
「そして畑中さんはずっと見てきて対峙してきたんですか」
 僕は畑中さんの長い人生のその戦いについて思った。
「そうだったんですね」
「彼等も遂に果てが見えてきましたが」
「もうかなり力は衰えていますね」
「そして信じる人もいなくなり」
 それも当然だ、平気で嘘を吐いて自分は責任を取らないのに他人の責任追及に躍起な輩なんて誰が信じるのか。
「後を継ぐ人もいないので」
「絶えていってるんですね」
「そうです」
 まさにというのだ。
「そうなっています」
「当然の流れですね」
「そうですね、ですから私もです」
「もうですか」
「彼等の結末をです」 
 まさにそれをというのだ。
「観られるかも知れません、生きているうちに」
「そうですか」
「腐敗した彼等の結末を」
「何ていうか日本の共産主義者は」
「全てが全てでないにしても」
「卑劣な輩が多かったんですね」
「はい、非常に」
 これが現実だった、終戦直後からの日本のマルクス主義者今はパヨクと俗に言われる人達はそんな連中ばかりだったのだ。
「そうでした」
「特定の思想に捉われて」
「それを絶対と思いましてやそこから権力を得られる可能性があれば」
「人はそうなるんですか」
「そうでしょう、しかし」
「それでもですか」
「彼等はあまりにも卑劣過ぎます」
 畑中さんは暗い顔で言った。
「幾ら何でも」
「どんな汚いことをしても平気な位ですからね」
「あそこまでの腐敗は何故かはです」
「畑中さんもわからないですか」
「理解出来ないのです」
 北朝鮮の帰国事業で見られたこんな酷い話があるのかという悪辣な行為についてだ。
「ある人は悪魔という言葉があるのならです」
「ああした人達がですね」
「悪魔だと言う位ですから」
「悪魔っていうかあれですね」
 僕はそんな格好いいものに思えた、僕が思う悪魔はスタイリッシュで悪魔なりの信条がある存在だ。キリスト教の正義を持っていないだけで別の正義がある存在も悪魔だと思う。
 けれどだ、その連中はだ。
「冥府魔道に堕ちた外道ですね」
「悪魔ではなく」
「そうかも知れないですね」
「悪魔どころかですか」
「遥かに卑しい」
 悪魔に卑しいイメージはない、僕はそう思うし畑中さんもそうらしい。 
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