八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百八十九話 武力と暴力その五
「軍備は過多と言ってよかったです」
「そうでしたよね」
「日本のマルクス主義は自衛の為と擁護していましたが」
「ソ連についてもですか」
「北朝鮮についても。ましてや」
ここで畑中さんはとんでもないことを話してくれた。
「朝鮮戦争のはじまりも」
「北朝鮮が攻め込んだんですよね」
「北朝鮮は韓国が攻めてきたと言っていましたが」
「それ嘘ですよね」
「真っ赤な嘘でした」
赤い共産圏の国が言った真っ赤な嘘と言えば駄洒落になるだろうか。
「これ以上はないまでの」
「嘘ですよね」
「しかしその嘘もです」
「日本のマルクス主義者はですか」
「鵜呑みにした主張をしていました」
「そうだったんですね」
「ベトナムでも同じでした」
何か酷い話が続く、日本のああした人達は一体何なんだろうか。
「北ベトナムの兵士は南に一人も入っていない」
「北ベトナムの主張ですね」
「それをそのまま言っていてマスコミでもです」
「そう言っていたんですか」
「ですが北朝鮮の時と同じく」
当時のベトナム戦争の時の主張もというのだ。
「彼等はそれをそのまま言っていました」
「そうでしたか」
「何の検証もせず」
「知識人やマスコミ、政治家は事実かどうかを検証しますよね」
「それが重要な仕事の一つです」
「それでもですか」
「彼等はそれを一切しませんでした」
そうして共産主義国家の擁護に専念していたというのだ。
「ハンガリー動乱やプラハの春、文化大革命でも同じで」
「酷い話が続きますね」
「最も悪質だったのは帰国事業でした」
「あれですね、在日の人が北朝鮮に行く」
「それがです」
まさにというのだ。
「北朝鮮の喧伝をそのまま垂れ流していて」
「それを信じて北朝鮮に沢山の人が行ったんですね」
「地獄に」
畑中さんは一言で言い切った。北朝鮮は何なのかと。
「そうして多くの犠牲者が出ましたが」
「とでもない話ですよね」
「しかし喧伝した人は一人も責任を取っていません」
「マルクス主義者はですか」
「マスコミもです」
どのマスコミの企業かは言うまでもなかった、あの新聞社だ。
「政治家もですが」
「当時そう言っていた政治家もいたんですね」
「野党で」
「今の野党の流れにある政党ですね」
「社会党です」
この政党はというのだ、今は社会民主党という少数政党になっているがその心というか社会党的なものは大きな野党にしっかり残っている。
「あの政党の政治家達がです」
「北朝鮮に帰っていいって言ってたんですか」
「地上の楽園だと」
「それで実際に帰った人いましたよね」
「多くの人が」
「そうして誰も帰っていないんですね」
それも生きてだ、文字通り誰も生きて帰ってはこない。このことは本当のことだからとんでもないことだ。
「北朝鮮から」
「そうでした、しかし」
「その責任は誰もですか」
「取っていません」
多くの人が生き地獄を味わってその中で死んでもだ。
「そうして他の人の責任はです」
「追求しますか」
「そうした人達です」
「卑怯卑劣の極みですね」
僕はここまで聞いてとても嫌な顔になった、詐欺と殺人と強盗を兼ねた悪質な犯罪者の片棒を担いでいる様にしか思えないからだ。
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