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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百八十八話 本を探しているとその四

「また別のです」
「違ったもので」
「読んでいてです」
「そのことがですね」
「不思議に思いました」
 そうだったというのだ。
「最初は訳がわからず」
「それで、ですね」
「どういった国かと思いました」
「そういえばそうですね」
 僕も言われて本当に思った、国王と宰相がそれぞれ私兵みたいな組織を持っていて彼等が張り合っている状況はだ。
「日本とはまた違っていて」
「まあ日本の大名の家臣達の様な」
「そう思うとですね」
「近いのかも知れないですが」
「武士に」
「はい、しかし彼等が時には剣を抜いていがみ合っていますし」
「あれ日本じゃないですよね、江戸時代だと」
 三銃士は日本で言うと江戸時代初期だ、それで僕もこう言った。
「江戸時代の日本であんなことは」
「有り得ないですね」
「そうですよね」
 そこは到底だ。
「誰がどう考えても」
「当時の日本では」
「戦国時代でも一つの家がそうなっていたら」
 織田家なり武田家なりがだ。
「まともに戦が出来るか」
「その時点で不安ですね」
「そうした家もあったでしょうが」
「ですから奇妙に思いました」 
 三銃士のそのことにというのだ。
「何故国王の下に軍隊が一つでないのか」
「それが当時の欧州でフランスなんですね」
「そうなのです、あと傭兵もいましたし」
「あれですね」
 僕も傭兵のことは本で読んで知っている、スイス人傭兵やドイツ人傭兵が有名で戦場で活躍したらしい。
「今もバチカンにいますよね」
「はい、スイス人傭兵は」
「それは知ってます」
「彼等もいまして。日本とはです」
「軍事制度が全然違いますね」
「そうした国です」
「そうしたこともわからないと」
 それにとだ、僕は畑中さんに話した。
「三銃士も他のフランスの本も読めないですね」
「完全には」
「そうですよね、当時のフランスのこととか」
「これはどの国についても同じで」
「僕小公女読んだことがありますが」
 あのセーラが一度どん底まで落ちてそこからプリンセスに戻る話だ、思えばセーラは運がよかったけれどそれ以上に心が清らかだったのだ。
「あの作品にしても」
「はい、当時のイギリス社会を理解していると」
「よりよく読めますね」
「完全に」
「そうですよね、日本の作品もそうですし」
「義和様は織田作之助も読まれていますね」
 畑中さんはここで僕に聞いてきた。
「そうでしたね」
「はい、夫婦善哉とか世相とか」
「どの作品も当時の大阪が理解出来ていますと」
 戦争前そして終戦直後のだ、それぞれの大阪の状況をというのだ。
「よく読めます」
「それは僕もわかりました」
 その夫婦善哉そして世相を読んでいてだ。
「僕にしても」
「そうです、やはりです」
「まずはそれぞれの社会もですね」
「把握しておくといいです」
「三銃士にしてもそうですね」
「私は実はリシュリュー枢機卿が好きですが」
 当初の敵役のこの人がというのだ。
「あの御仁が」
「敵役でも堂々としていますよね」
「陰謀家ですが」
「何かそこに筋が通っていますね」
「フランスの為に動いています」
 史実でもそうだった、確かに陰謀家で色々と政敵も多くて常に毒殺の危険があって猫を沢山飼って毒見させていたという。 
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