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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百八十八話 本を探しているとその三

「その乗り越える様もです」
「凄くて」
「はい、本当に娯楽小説にもなるでしょう」
「面白く読めるんですね」
「そう思います」
「そうした訳文書く人いて欲しいですね」
「本当にそうですね、今はそう思います」
 畑中さんは僕に話してくれた。
「当時はそうしたことはです」
「思えなかったですか」
「はい、発想としてです」
「なかったんですね」
「文章は厳めしく堅く」
 その様にというのだ。
「そうでなくてはならないという風潮はありましたね」
「昔の日本はそうだったんですね」
「娯楽にするとです」
「劣った感じにですか」
「なると思われていまして」
 それでというのだ。
「堅い文章ばかりでした」
「今とは考えが違いますね」
「枕草子も今ですと女性の告白文体にも出来ますね」
「何か田辺聖子さんみたいに書いたら」
 言いながら美沙さんと小夜子さんに応えて話した。
「凄く砕けた日記みたいになりそうですね」
「春はあけぼのにしましても」
「明け方が一番いいというのも」
「砕けて書くと面白くなりますね」
「そうですね、元々面白そうですしね」
 ああした古典の作品はそうした作品が多い、円地文子の更科日記とか和泉式部日記も読むと普通の女性の姿が書かれている日記だ。
「古典も」
「それでああ無情もですね」
「はい、今の文章で書きますと」
「ライトノベルみたいに」
「そうなりますね、三銃士もああ無情も」
 そしてモンテ=クリスト伯もだ。
「そのままライトノベルですね」
「例えばシェークスピアの作品の歌劇ですが」
「あっ、ヴェルディですね」
 うちの学園の大学の歌劇部で上演することもある、ただオテロは何でも主役のオテロに人を選ぶのであまり上演されないみたいだ。
「観ると面白いですね」
「はい、シェークスピアで作品のストーリーが確立されたと言われていますが」 
 この偉大な劇作家が普遍的なストーリーの在り方を確立させたという。喜劇にしても悲劇にしてもそう言われている。
「シェークスピアは歌劇にしますと」
「もう手に汗握る、ですね」
「そうした面白さがありますね」
「シェークスピアって普通に読んでも面白いですし」
 福田恒存訳で何作か読んだ、文学じゃなくて娯楽作品として読んでも手放しに面白い作品だと思う。
「もう本は肩肘張らずに」
「読めればいいですね」
「何かそう考えると」
 僕はここでこうも思って畑中さんに言った。
「小説は軽く読んでいいですね」
「はい、三銃士にしても」
「楽しめればいいですね」
「要は面白いかどうかかと」
「そうなりますね」
「ですから三銃士はです」
 この読んで面白い、楽しいという点でだ。
「合格です」
「じゃあどんどん読んでいきます」
「はい、しかし三銃士は最初驚きました」
「何にですか?」
「国王と宰相がそれぞれ別の軍隊を持っていますね」
 畑中さんはこのことを言ってきた。
「そうですね」
「ああ、銃士隊と親衛隊ですね」
「国家に直属した軍隊でも藩の武士でもないので」
「それぞれの私兵ですからね」
「はい、何故それぞれが私兵を持っているのか」
 国王と宰相がだ。
「奇妙に思いました」
「当時の欧州は国家の軍隊とかじゃなかったんですよね」
「藩の武士とも違いました」
 当然戦国時代の戦国大名の兵達ともだ、そうしたものではなかったのだ。 
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