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夢幻水滸伝

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第七十五話 北上と南下その五

「こうなることも道理でごわすな」
「こちらが北上しますと」
「筑前は南下してきましたね」
「そうしてですね」
「これから戦うことになりますね」
「そうでごわす、ここはでごわす」
 北原は今の日向の状況を完全に理解した、そうして言うのだった。
「各個撃破でごわす」
「ではどの勢力ば先に叩きもっそ」
「それが問題ですが」
「どうするでごわすか」
「どうもでごわす」
 北原は純奈と彼女が率いる軍勢がいる森を見た、そうして言った。
「今の林どんはでごわす」
「目の前の相手は」
「あの人はですか」
「退きだしているでごわすな」
 こう言うのだった。
「森の木々の動きが肥後に向かっているでごわす」
「森の中にいる人が動けば木も動く」
「音がしますね」
「そうでごわす」
 見れば木が動く音がする、そして森から鳥達がしきりに出ていっている。しかもその音は肥後の方に向かっていた。
 その状況を見てだ、兵達は北原に言った。
「棟梁、ここはです」
「追撃をしますか」
「そうされますか」
「そして敵を叩くでごわすか」
「そうされますか」
「いや、ここはでごわす」
 北原は兵達に鋭い目になって答えた。
「攻めないでごわす」
「それは何故ですか」
「何故攻めませんか」
「動かれんとですか」
「森の中に迂闊に入ってはでごわす」
 例え戦において敵に多くの打撃を与えられる追撃戦でもというのだ。
「おそらく弓兵や銃兵、術を使う者が多くいるでごわす」
「そしてですか」
「攻めようとした時点で、ですか」
「森に入れば」
「その時は」
「その者達に激しい攻撃を受けるでごわす」
 確実にそうなるというのだ。
「こちらの追撃に後詰を置いているでごわす」
「そのことは間違いない」
「だからですか」
「ここはですか」
「攻めないですか」
「そうするでごわす」
 あえてだ、そうするというのだ。
「ここは」
「左様ですか」
「それではですか」
「ここはあえて攻めず」
「福岡の方を攻めますか」
「そうでごわす、兵をすぐに動かし」
 そしてというのだ。
「あの者達を叩くでごわす、そして日向に手出しをさせない」
「そうしますか」
「この日向から追い出しますか」
「そうしますか」
「そうするでごわす、そして」
 北原はさらに話した。
「一旦福岡の勢力を日向から退け」
「そのうえで日向をおいどん達が掌握ばして」
「その次に肥後」
「あの国ですか」
「九州の南を完全に掌握するでごわす」
 まさにというのだ。
「だからでごわす」
「ここはでごわすか」
「九州の南の力でさらにですね」
「北上を続けそして」
「九州全土を」
「そうでごわす、掌握してでごわす」
 そしてというのだ。 
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