夢幻水滸伝
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第七十五話 北上と南下その六
「おいどん達がでごわす」
「はい、それでは」
「まずは日向ば統一して」
「そしてそのうえで」
「次の動きば移りましょう」
「そうするでごわす」
こう言ってだ、そしてだった。
北原は純奈が率いる軍勢が退いたのを見てだ、そのうえで。
すぐに日向と豊後の境に急行した、途中通ったのは既に下っている豪族の勢力圏内だった。薩摩の兵達の動きは鍛え抜かれているだけに速かった。
その中でだ、北原は又吉から貝殻で連絡を受けた。
「大砲を買いました」
「おお、あれをでごわすか」
「そして琉球の術を使える者達をです」
「こちらのですか」
「大砲と一緒に空船で送り出しました」
「もうでごわすか」
「はい、福岡の勢力が豊後にですね」
又吉は北原にこのことを問うた。
「そして」
「至ったでごわす、そのうえで日向にもでごわす」
「来ていますね」
「そうでごわす」
まさにと言うのだった。
「そして日向も」
「そうですね、ただ」
「ただ、でごわすか」
「福岡の動きは速いですね」
又吉は貝殻の向こうにいる北原に述べた。
「予想よりも遥かに」
「おそらくでごわすが」
「おそらく?」
「筑前を完全に掌握してです」
そのうえでというのだ。
「豊前、豊後に進んでいますが」
「豊前も豊後もでごわすか」
「急進しているので完全に掌握していないです」
「まだ従っていない勢力もいるでごわすな」
「そして日向に向かっています」
「どうも完全に掌握することを後回しばして」
「そうしてです」
そのうえでというのだ。
「我々と戦うつもりなのでしょう」
「そうでごわすな、では」
「はい、どうしますか」
「福岡の連中に一撃ば加えるでごわす」
こう北原に答えた。
「そうするでごわす」
「そのうえで」
「連中を日向から追い出すでごわす」
この考えを又吉にも話した。
「そうして日向に手出しばさせない様にして」
「そのうえで」
「日向を退けるでごわす」
「そうされますか」
「幸い林どんとの対峙は終わっているごわすからな」
「その林さんですが」
その名前が出たところでだ、又吉はこう北原に話した。
「どうも兵糧を雨で流されて」
「兵糧が不足したでごわすか」
「そうなると見られてです」
そのうえでというのだ。
「退かれたみたいです」
「そうでごわすか」
「やはり食べるものがないと」
どうしてもという口調でだ、又吉は話した。
「戦も何も出来ません」
「あの時は退く訳はわからなかったでごわすが」
「はい、しかしです」
それでもと言うのだった。
「どうもそうした理由で、です」
「林どんは退いたでごわすか」
「そして日向からもです」
この国もというのだ。
「退いた模様です、実は肥後を統一しても」
「他の国で、でごわすか」
「筑後で肥前の勢力と衝突している様でして」
「あちらにも進出しているでごわすか」
「そして」
それでとだ、又吉はさらに話した。
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