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永遠の謎

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481部分:第二十九話 人も羨む剣その三


第二十九話 人も羨む剣その三

「平地であり要害もない」
「つまり四方八方から攻められる」
「そうなるからですか」
「そうだ、最早戦争をしてはならない」
 そう考えているのだった。彼は。
「平和を維持しなくてはならないのだ」
「それが統一されたドイツの戦略になりますか」
「フランスとの戦争の後では」
「そうなりますか」
「そうだ。戦争はしない」
 また言う彼だった。
「決してだ」
「では閣下」
「その様にですね」
「そうされますか」
「統一されてからは平和ですか」
「そうだ。その為にオーストリアとの講和はあちらにいい条件にした」
 既にだ。その時点で考えていたのだ。
「怨みを買っては。オーストリアを敵に回すからだ」
「むしろオーストリアとは同じゲルマン民族として友好関係を保ちですね」
「南からの脅威を取り除く」
「そうしてですか」
「オーストリアからの脅威はなくす」
「イタリアともだ」
 次はだ。この国だった。
「イタリアも統一されようとしているがだ」
「そのイタリアとも手を結ぶ」
「あの国とも」
「イタリアは無意識のうちに好きになってしまう」
 ビスマルクはここでこんなことを言った。考える顔だがその口元は微かに笑みになっている。その顔でだ。こうしたことを言ったのだ。
「不思議な国だな」
「そうですね。イタリアは確かに」
「どうしても好きになります」
「憎めないといいますか」
「あの国に対しては」
「ドイツ人はイタリアが好きだ」
 ビスマルクはこの結論を出した。
「神聖ローマ帝国の頃からな」
「空は晴れ渡り暖かく」
「そして食べ物は豊富で美味です」
「そこには我々の欲しいものが全てあります」
「だからですね」
「そうだ。イタリアはドイツ人にとっては特別だ」
 まさにだ。そうした国だというのだ。
「南を安全なものにする為でもあるが」
「それと共にですね。あの国とは」
「友好関係を築いて守り」
「共に栄えていくのですね」
「そうしたい。南はそうしてだ」
 オーストリア、そしてイタリアとの良好な関係を築くというのだ。
 南のことは話した。しかしだ。
 次に彼はだ。顰めさせた顔になってだ。この国のことを述べたのだった。
「問題はロシアだ」
「あの国ですか」
「東の」
「まさに熊だ」
 ロシアは常にこの動物に例えられる。それはビスマルクも同じでだ。
 この国をこう言いだ。そしてだった。
「隙を見せれば襲い掛かって来る」
「はい、東に南に領土を拡大し続けています」
「しかもかなりの強さです」
「コサック騎兵もいますし」
 ロシア軍の看板とも言える兵達だ。河川を船で暴れ回っていたがこの時代ではだ。騎兵隊としてだ。ロシア皇帝の頼りになる戦力になっているのだ。
 その彼等の存在もありだ。ロシアは強大な国となっていた。
 ビスマルクもだ。彼等についてはだった。
 
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