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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百八十六話 読書の秋その十四

「いいんだ」
「そうなるのですね」
「百地三太夫もね」
「あの人もですね」
「棟梁だったから」
「有名でもいいですか」
「あと真田十勇士は」
 僕はこの人達のこともついつい話した。
「講談だから」
「架空のお話だから」
「それでね」
 そのせいでだ。
「有名でもね」
「問題ないですね」
「何か三人か六人位しかね」
 十勇士のその中でだ。
「実在していなくて十人全員いても」
「架空ですか」
「実際はモデルになった人がいた位だったらしいよ」
「モデルになった人が名前を変えて」
 もっと言えば創作者に変えられてだ。
「作品に出ているんだ」
「そうでしたか」
「そうした意味では実在していたけれどね」
 十勇士は全員だ。
「モデルになった人が実在していたという意味ではね」
「そうでしたか」
「ただ十人共真田幸村さんの家臣でも」
 そうだったとしてもだ。
「十勇士とかは言っていなかったよ」
「そうでしたか」
「十勇士は創作の世界だよ」
 立川文庫の世界だ、娯楽作品で今でいうとライトノベルの様なものか。子供でも軽く楽しく読める作品だったのだ。
「この辺り三銃士と一緒かな」
「デュマのですね」
「ダルタニアンやロシュフォールは実在していたけれど」
 もっと言えばルイ十三世やリシュリューもだ。
「三銃士はモデルになった人達がいても」
「アトス、ポルトス、アラミスとはですか」
「名前は違っていたから」
「そうでしたか」
「僕子供の頃に読んで登場人物の殆どが実在と聞いていたけれど」
「題名の三銃士はですね」
「うん、実はね」
 名前が違っていたのだ。
「モデルになった人達がいたという意味では実在していたけれど」
「十勇士と同じですか」
「そうした事情だったんだ」
「そうでしたか」
「それに三銃士って実は長いんだよね」
 何かフランス文学はべらぼうな長編が多い、ビクトル=ユゴーにしてもこのデュマにしてもとんでもない長編を結構残している。
 そしてだ、この三銃士もなのだ。
「ダルタニャン物語っていう十一巻もある大長編だから」
「十一巻ですか」
「それも分厚い本でね」
 ライトノベルなんて目じゃない文章量でだ。
「小さな字が文庫本にびっしり書いていて本自体も分厚い感じで」
「それで十一巻ですか」
「ダルタニャンが銃士隊に入って引退するまでの物語なんだ」
 つまり彼の半生を描いた作品なのだ。
「だから凄く長いんだ」
「そうでしたか」
「うん、僕も全部読んでいないよ」
「では」
「三銃士って言われてる部分だけだよ」
 その長い物語の言うなら一巻位か。
「鉄仮面とか読んでないから」
「あれっ、鉄仮面って」
 そう聞いてだ、美沙さんが言ってきた。その言ったことはというと。


第百八十六話   完


                 2018・5・1 
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