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夢幻水滸伝

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第七十四話 南からその十三

「確かに美味しいでごわす」
「はい、ラーメンと同じくかん水を使っていますが」
「麺の打ち方が違うでごわすし」
「おつゆのだしがまた」
「昆布が利いているでごわすな」
「ですから独特の味でして」
「好きでごわすな。確かに」
 北原の食う勢いは凄い、伊達に大柄な訳ではないということか実に豪快に勢いよく食べていっている。
 それでだ、そーきそばも一気に完食して言った。
「美味しかったでごわす」
「一瞬でしたね」
「それだけ美味しかったということでごわす」
 北原は又吉に笑って答えた。
「要するに」
「それは何よりです、そして鹿児島ラーメンも」
「どうでごわすか」
「美味しいですね」
 又吉は又吉で鹿児島ラーメンを食べている、そうして言うのだった。
「実に」
「それは何よりでごわす」
「ではですね」
「こうしてお互いのものを食べて飲んで」
「親睦も深めますか」
「おいどん達は仲間になったでごわす」 
 北原は又吉にその犀の目を微笑まさせて答えた。
「だから親睦をでごわす」
「深めていくべきですね」
「そうでごわす、これからも」
「そうですね、それとですが」
「今度は何でごわすか」
「はい、かるかんやきびなごも食べていいですか」
「勿論でごわす」
 西郷は又吉に満面の笑顔で答えた。
「何度も言うでごわすが遠慮は無用でごわす」
「そうですか」
「というか又吉どんは謙虚でごわすな」
「そうでしょうか」
「大人しく穏やかで」
「そのつもりはないですが」
「もっと前に出てもいいでごわす、薩摩っぽは」
 彼等はとだ、北原は話した。
「血気盛んで」
「それで、ですね」
「おいがおいがとでごわす」
「自己主張をしていきますか」
「そうしたモン達でごわす」
「琉球と違いますね、琉球はのんびりしていています」
 鰐の顔を綻ばさせてだ、又吉は琉球の者達のことを話した。
「そして穏やかで」
「焦らなくてでごわすか」
「それ程前に前にとはです」
「出ないでごわすか」
「しかし我等は一つの勢力になりました」
「だからでごわすな」
「これからは共に進んでいきましょう、正反対な者同士ですが」 
 それでもとだ、又吉は北原に穏やかな顔のまま話した。
「それがかえっていいかも知れませんね」
「個性が違うモン同士でやっていくことも」
「それもいいですね」
「そうでごわすな、では」
「これから宜しくお願いします」
「こちらこそでごわす」
 二人で仲良くだ、酒を飲み美味いものを食べつつ言い合った。そうしてこれからのことをあらためて話した。二人は今盟友同士となった。


第七十四話   完


                     2018・7・15 
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