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夢幻水滸伝

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第七十四話 南からその十二

「多分おはんと同じでごわす」
「同じです、飲むことが」
「生きがいでごわすな」
「その一つです、お酒はいいものですね」
「全くでごわす、しかし」
「しかし?」
「ゴーヤチャンプルはいいでごわすな」
 北原は今度は酒のことを話した。
「ゴーヤの苦みも豚肉の味もでごわす」
「その二つが合わさって」
「実にいいでごわす」
「この美味しさがです」
 まさにとだ、さらに言った又吉だった。
「病みつきになりますね」
「そうでごわすな」
「それとこの豚のお刺身は」
「どうでごわすか」
「美味しいです、しかし生の豚肉とは」
「まずないでごわすな」
「薩摩、鹿児島だけですね」
 こう言うのだった。
「まさに」
「そうでごわすな」
「豚肉は普通生で食べないですから」
「おいどんも実は」
「鹿児島におられた時も」
「実はあまり食べていないでごわす」
 そうだったというのだ。
「というか親があまり食べさせなかったでごわす」
「生は危ないので」
「川魚と同じでごわす」
「虫ですね」
「それがあるからでごわす」
 だからだというのだ。
「親はあまり食べるなと言ってでごわす」
「子供には確かによくないですね」
「そうでごわす、虫は危険でごわす」
「ですから実際に普通食べません」
 豚肉を生ではだ、それで又吉はその豚の刺身を食べつつ言うのだった。
「実に珍しいものです」
「豚肉自体はよく食べますが」
「しかし」
「それでもですね」
「そうでごわす、しかし」
「今こうして食べますと」
「美味しいでごわすな」
 見れば北原は大蒜醤油で食べている、そうしつつ言うのだった。
「そうでごわすな」
「はい、まことに」
「これが豚の刺身でごわす」
「日本でもここだけにしかないですね」
「そうしたものでごわす、そして」
 北原は又吉にこうも言った。
「ラーメンも食べるでごわす」
「鹿児島ラーメンですか」
「これも美味しいでごわす」
 だからだというのだ。
「だからでごわす」
「僕はラーメンは実は」
「食べないでごわすか」
「いえ、好きですが」
 それでもとだ、又吉は北原に答えて話した。
「二番目なのです」
「二番目に好きな麺類でごわすか」
「一番はやはり」
「そーきそばでごわすな」
「おわかりですか」
「はい、やはりです」
 どうしてもという口調でだ、又吉は北原に答えて話した。
「本場のものでして」
「馴染みがあるでごわすか」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「ラーメンも好きですが」
「まずはでごわすな」
「そーきそばが好きです」
「これでごわすな」
 そのそーきそばの丼を持ってすすってからだ、北原は又吉に応えた。 
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