| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百八十五話 秋の二大イベントその五

「名産でね」
「美味しいですね」
「そうだよ、ただ種のある柿は」
「少ないですね」
「もう富有柿だよ」
 奈良の柿はだ。
「一番多いのはね」
「あの平たい感じの柿ですね」
「尖った感じの柿は少なくなってるみたいだよ」
 奈良県ではだ。
「ここにまで奈良の柿が来るけれど」
「それでもですか」
「うん、柿はね」
 奈良のそれはだ。
「富有柿が主流だよ」
「あの柿も美味しいですね」
「ただ種はね。まあ種はあると面倒臭いって人もいるけれど」
 一々取り出して食べることがだ。
「どうにも」
「あれはあれで、ですか」
「僕は風情があると思うんだ、まあ一番好きな柿は何かっていうと」
「富有柿ですね」
「あっちだけれどね、それもね」
 僕はこの柿についてさらに話した。
「固めの柿が好きなんだ」
「塾していない柿ですか」
「そうした柿がね、中にはまだ渋かったりするけれど」
 それでもだ。
「柿はね」
「固いのがお好きですか」
「そうなんだ」
「食感が好きですか」
「柔らかいとね」
 熟しているとだ、もうそれで熟々になっているとだ。
「嫌だね」
「食べられないですか」
「ちょっとね」
 こう小夜子さんに話した、実際にそうした表情になって。
「僕は駄目なんだ」
「固めの柿でないとですか」
「柿は好きでもね」
「食べられないのですね」
「そうなんだ」
 実際にそうだ、どうしても柿は固いのでないと駄目だ。下手をすると渋くてどうにもという味になっているものがあるがだ。
「その方がね、皮だってね」
「柿の皮もですか」
「熟していると変に厚く感じるから」
 中身は嫌になる位柔らかいのにだ、そのギャップもどうかと思う。
「それでね」
「柔らかい柿はですか」
「嫌なんだ」
「本当に柔らかい柿が駄目ですか」
「うん、僕はね」
「こだわりですね」
「柿は好きだよ」
 大好きと言っていい、正直言って。
「本当にね、けれどね」
「固い柿限定ですか」
「干し柿も好きだよ」
 実はこの柿も好きだ、あの濃縮された甘さが好きだ。実はドライフルーツの系統はどれもかなり好きだ。
「そちらの柿もお菓子もね」
「柿のお菓子は和菓子でありますね」
「それも好きなんだ」
「では柔らかい柿だけがですか」
「どうしてもね」
 僕としてはだ。
「駄目でね」
「それで、ですか」
「その柿は子供の頃から食べないんだ」 
 出ていてもだ、どうしても駄目だ。
「どうもね」
「では林檎もでしょうか」
「うん、新しくてね」
「固めの方がですか」
「好きだよ」
 こちらの果物もだ。
「そっちの方がね、ただ林檎はね」
「柿程ではないですか」
「こっちは古いのでも大丈夫だよ」
 新しい林檎独特のシャキシャキとした小気味いい食感がなくなっていてもだ、こちらの果物は大丈夫だ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧