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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百八十三話 カナダという国その十二

「もう別ものよ」
「菅原文太さんのものじゃないですね」
「全く別ものよ、そもそもトラックも」
 肝心のこれもというのだ。
「昔と今じゃ違うし」
「大きなトラックはあっても」
「また違うものよ」
 四十年前のトラックと今のトラックはというのだ。
「道も街も違うのに」
「俳優さんだけのことじゃないですね」
「それじゃあ何もかもが違うわよ」
「そうなんですね」
「ええ、そして特にね」
「菅原文太さんですね」
「あの人はあの人よ」
 オールオブワン、そうだというのだ。
「高倉健さんにしてもね」
「昭和の人で、ですね」
「そう、平成の人じゃないから」
 平成にも生きていてメディアにも出てというのだ。
「ああした格好良さは今の人には出せないわよ」
「今の恰好良さですね」
「そう、軍隊で言うと自衛隊よ」
 こちらの恰好良さというのだ、けれど考えてみると昭和も二十年までは確かに日本軍だけれど昭和四十年代は完全に自衛隊の時代だ。
「今はね」
「科学的でスマートで爽やかな恰好よさですね」
 早百合さんが自衛隊の恰好よさについて話してくれた。
「それは」
「ええ、自衛隊ってそうよね」
「頼りになるお兄さんですね」
「陸空海共にね」
「年配の方はおじさんで」
「そんな風だけれど」
 自衛官の人達の恰好よさ、それはだ。
「日本軍って違うわよね」
「武士ですね」
「そうよね、刀持ってる人もいたし」
 下士官以上が持つことが出来た、つまり帯刀だ。
「日本軍は武士よね」
「自衛官の人達は武士というよりかは」
「軍人さんでね」
「お兄さんですね」
「普段は親しみやすくで冗談も言うね」
「やるべき時はしっかり」
 そうして動いて頑張ってくれる、だ。
「そうした方々で」
「常在戦場っていう様な」
「そうした方々ではないです」
 常在戦場は言うまでもなく日本軍だ、あの人達の覚悟を決めて前を見据えている悲壮感さえある感じは今の明るい自衛隊にはないかも知れない。
「しかしそれが」
「昭和にはまだ残っていてね」
「菅原文太さんや高倉健さんにはありましたね」
「復員兵や軍人さんの役もやってきたし」
 こうした人達はだ。
「本当に違うわね」
「はい、例えば」
 ここで早百合さんはピアノを奏でてくれた、その曲は僕も裕子さんもよく知っている馴染みのある曲だった。


第百八十三話   完


                   2018・4・8 
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