夢幻水滸伝
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第七十二話 荒んだ心その十一
だがそれでもだ、やはり従わぬ勢力もあり。
二人はそうした勢力には自分達が兵を率いて攻めて降していった、山本は吉田郡山城を攻めてだった。
その城を囲んだが兵達にこう言った。
「ええか、降った奴や武器を持たん奴はじゃ」
「手を出さない」
「そうするんですのう」
「そうじゃ、ましておなごにアホなことはするな」
このことも言うのだった。
「絶対にな」
「わかっています」
「そしてものを奪うこともですね」
「それでもですね」
「したらすぐに首刎ねる、人の道に反することはするな」
これが山本が言いたいことだった。
「ええのう、ほなじゃ」
「今からですね」
「城攻めですね」
「それにかかりますね」
「ええか、わしが今から槍で敵の正門を潰す」
神具である日本号を構えて言った。
「衝撃波を出してのう」
「そうしてですね」
「正門のところにある櫓も壊して」
「そこからですね」
「一気に雪崩れ込みますね」
「空から攻めるモンもじゃ」
空船や空を飛べる種族の者達にも言うのだった。
「一緒にじゃ」
「はい、正門からですね」
「城に入っていきますね」
「そうじゃ、城攻めは中に入ることじゃ」
そこからはじまるとだ、山本もこれまでのこの世界での暮らしからわかっていた。それで今もこう言ったのだ。
「だからじゃ」
「はい、お願いします」
「まずは門を」
「壊すけんのう」
山本は構えたその槍を大きく振ってそれにより衝撃波を出した、その衝撃波はかなりの大きさと威力で。
正門はかなり崩れた、だがまだ形はあり。
山本はもう一撃衝撃波を放った、それでだった。
正門を完全に壊しそこにいた兵達も蹴散らした、それからだった。
正門の傍にあった櫓も壊した、そうして敵の防御力を削いでだった。
自ら兵を率いて城内に入った、攻城戦は山本の力により楽に進み本丸を囲むまで一日もかからなかった。
敵の領主は本丸を囲まれたところで降った、山本はこのことで笑って話した。
「よし、これでじゃ」
「吉田郡山城も手に入れました」
「ほな次もですね」
「こうして攻めていきますね」
「そうしていきますか」
「そうじゃ、けど今回の戦はこれで終わりじゃ」
吉田郡山城を攻め落とした、これでというのだ。
「広島に戻るぞ」
「わかりました」
「ほなここには少しの兵を置いてですか」
「広島に戻りますか」
「そうしますか」
「そうじゃ、戻るぞ」
こう言ってだった、山本は実際に城に守りの兵を置いてからそのうえで広島に戻った。それから広島を守っていた井伏に話した。
「吉田郡山城を手に入れてじゃ」
「安芸の中央も抑えたのう」
「これから北に進める」
「そうじゃな、ほな次はわしじゃな」
「こんなは西に向かうか」
「東はもう抑えたしじゃ」
それにと言うのだった。
「島の方もじゃ」
「全部手に入れたな」
「後は伊代の方じゃが」
こちらはというと。
「あそこはのう」
「四国の方に進出するのはか」
「後じゃ」
井伏は山本に強い顔で答えた。
「まずは安芸を手に入れてな」
「そうしてじゃな」
「周防や長門、備後を抑えてな」
「山陽を手に入れてか」
「それでじゃ」
それが終わってからだというのだ。
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