| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百八十二話 港とヤクザその一

               第百八十二話  港とヤクザ
 朝にヤクザ屋さんの話をしてからだ、僕達はいつも通りバスで登校した。そうして部活の朝練で軽く汗を流した後でクラスに入ってだ。
 自分の席に座って今読んでいる本を読もうとすると隣のクラスの若井君、ピアノ部の彼が来て僕に聞いてきた。
「あの、うちの部長さんだけれど」
「早百合さんのこと?」
「御前のアパートに住んでるんだよな」
「うん、そうだよ」
 僕は若井君にその通りだと答えた。
「あの人もね」
「そうだよな、じゃあ聞くけれどな」
「早百合さんのことで何かあったのかな」
「いや、今朝凄い曲演奏したんだよ」
「ひょっとして」
「仁義なき戦いのテーマソングな」
 あの曲をとだ、若井君は僕に眉を顰めさせて目を横にやって話した。
「それとゴッドファーザーの曲な」
「愛のテーマかな」
「それだよ、部の皆驚いてたよ」
「何でその曲って」
「部長さんクラシックの曲が多いけれどな」
「それでもだったんだね」
「今朝はこの二曲でな」
 それでというのだ。
「何かって思ったよ。あれ何でなんだ?」
「実は八条荘でもね」
 僕はその朝のことを話した。
「仁義なき戦いの曲演奏したよ」
「そうだったんだな」
「何か気分としてね」
「あの曲演奏したのか」
「そうみたいだよ」
「妙な気分だな、あの映画っていうか俺はな」
「ああした映画は」
 僕も若井君い尋ねた。
「好きじゃないんだね」
「ヤクザ屋さんはな」
 どうもというのだ。
「好きじゃなくてな」
「そうだね、しかしね」
「部長さんの気分でか」
「演奏したんだよ」
 こう若井君に話した。
「あの人ドラマやアニメの曲も演奏するよね」
「特撮もな」
 確かにクラシックが主体でもだ、早百合さんはいい音楽と思ったらどんな曲でも演奏する人なのだ。
「それでか」
「あの映画のテーマソングもだよ」
「そうなんだな」
「うん、別にヤクザ屋さんが好きとかね」
「そういうのはないんだな」
「ないよ」
 そうした考えは実際にだ。
「別にね」
「だといいけれどな」
「何かって思うよね」
「思ったよ」
 これが若井君の返事だった。
「本当に」
「そうだよね」
「あの映画の曲凄いからな」
「最初がね」
「インパクト抜群でな」
 それで色々な場面で使われたりする。
「それでな」
「びっくりしたんだね」
「ああ、しかし神戸ってヤクザ屋さんっていうとな」
「あそこだね」
「あそこだよ」
 僕に嫌そうに言ってきた。
「もう日本全国に系列持ってる」
「内部抗争も起こってる」
「あそこだけれど」
「広島はね」
「あの映画の通りだよ」
「今はどうか知らないけれど?」
「そう、あの頃はああだったみたいでね」
 色々な組がシマを取り合ったり内部抗争をしていてだ。
「そうしてね」
「殺し合っていたんだね」
「そうみたいだよ、それであの曲はね」
「あの映画の代名詞みたいでね」
「しかもね」 
 それに留まらずというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧