八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百八十一話 体育祭が近付きその十六
「あちらは」
「あそこだと密輸組織とか自警団がなったり」
「山賊がですか」
「そう、何か政府が警察に仕立てたら」
「マフィアになったんですね」
「そうよ」
「それは」
小夜子さんも驚いてこう言った。
「恐ろしいですね」
「毒には毒っていうでしょ」
「毒を以て毒を制すですね」
「そう、それでね」
「山賊には山賊で」
「山賊の中で政府に降るかもっていうのに声をかけて」
そうしてというのだ。
「その連中を警察にしてね」
「山賊に向けたのですね」
「そうしたけれど」
「元は山賊、ならず者なので」
「そうなったのよ」
マフィアになったというのだ。
「そんな連中もいるらしいわ」
「そうですか」
「あと山賊がそのままなったり自警団や密輸組織がなったり」
「自警団もですか」
「日本じゃあまりないでしょ」
「ヤクザ屋さん達が一時的になったことはあります」
その終戦直後の様にだ。
「ですが本当にです」
「日本じゃテキ屋か賭場からなのね」
「そこからはじまっています」
「そうなのね」
「あと山賊はありました」
ここで小夜子さんが挙げる人達はというと。
「国定忠治さんですね」
「あの赤城の山の」
「あの人はそうしたこともしていました」
この人のことは僕は聞いている位だ、最期は病気になって動けないところを捕まって磔にされたらしい。
「あと人足斡旋ですね」
「港とかの」
「これは幡随院長兵衛さんがそうでして」
江戸時代初期の有名な侠客だ、町奴の顔役として旗本奴の顔役である水野十郎左衛門と渡り合った。
「本職はそちらでした」
「ふうん、そうだったの」
「何かお寺に匿われたとのことですが」
ここでもヤクザ屋さんと寺社のつながりの話が出た、本当に昔は両方共持ちつ持たれつの関係だった。
「実は和尚さんの息子だったとか」
「ああ、隠し子ね」
「そうも言われていますが」
「その長兵衛さんもなのね」
「人足斡旋の元締めでして」
「ヤクザ屋さんはそこからもなのね」
「出ています」
「そうなのね」
「まあそうした経緯なので」
日本のヤクザ屋さん達の誕生はだ。
「他の国のマフィア等に比べますと」
「物騒じゃないわね」
「はい、行いは物騒ですが」
何か小夜子さん的なジョークも入った。
「それでもです」
「ましみたいね」
「そうかと、ただ本当にあの頃の広島は」
「そんな状況だったのね」
「そうでした」
朝にこんな話が行われた、どうも朝にする様なお話じゃないと思いながらも。僕達は朝御飯を食べながらヤクザ屋さんの話をした。
第百八十一話 完
2018・3・24
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