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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百八十一話 体育祭が近付きその十一

「実際にですか」
「そうでした」
「本当に撃たれたんですね」
「そうでした、刀も向けられました」
 日本刀、それをというのだ。あちらの用語では長ドスという。
「その中をお母様と共にです」
「秋田を出てですか」
「一緒になったのですが」
「攫ってきたんですね」
「そうでした」
「ううん、聞けば聞く程危険な相手ですね」
「極道といってもそれぞれで」
 お袋の実家はというと。
「外道と言うべき様な」
「そんな家ですか」
「極道と呼ぶなら」
「任侠もないんですね」
「はい、元々任侠なぞありません」
 畑中さんは髪の毛を整えた、見事な白髪に櫛を入れている。。寝る前にはジェルを丁寧に落としているけれど僕はいつもオールバックにしか見えない。
「ああした世界には」
「汚い世界ですね」
「そうです、しかしです」
「それでもですか」
「そうした世界でも掟はあります」
 これは厳然として、というのだ。
「そしてその掟をです」
「無視する人達ですか」
「そうなのです」
「何かそう思いますと」
「止様は厄介な人達と向かい合いますね」
「はい、大丈夫とは思えないです」
 僕としてはだ。
「そんなとんでもない人達と向かい合うかと思うと」
「しかしです」
「親父ならですか」
「信じて下さい、止様を」
「息子としてですね」
「そうです、そうされて下さい」
「わかりました」
 僕は畑中さんのその言葉に確かな顔で頷いた、そして。
 ここでだ、僕はふとこう言った。
「あとですけれど」
「お水ですね」
「はい、お酒は抜けましたけれど」
 完全にだ、サウナに三度も入ってそうしてお湯にも入ってだった。物凄い二日酔いも完全に抜けていた。
「それならそれで」
「汗をかきましたからね」
「水分補給が大事ですね」
「そうです、ここはです」
「水分もですね」
「摂って下さい」
 こう僕に話してくれた。
「そうして下さい」
「そうですね、それじゃあ」
「お水も飲みます」
「出来れば野菜ジュースやスポーツドリンクです」
 そうしたものをというのだ。
「飲まれて下さい」
「わかりました」
 こうした時畑中さんは普通のお水よりもそうしたものを勧めてくれる、そして僕もそうしたものを飲んでいる。
「それ飲みます」
「そうされて下さい」
「わかりました」
 僕は頷いた、そしてだった。
 実際に部屋に戻って制服に着替えてから食堂に行く前に冷えた野菜ジュースを飲んだ、それもコップで五杯一気に。そうしてだった。
 ほっとしたところで食堂に向かおうとした、しかしここで。
 時間を見た、するともう朝御飯の時間だった。食堂に向かおうとしたのはそろそろだと思ったけれどまさにだった。
 それで食堂に行こうとしたが早百合さんに呼び止められた。
「今からお食事ですか」
「はい、もう行こうかなって思ってますけれど」
「少し早いのでは」
 こう僕に言ってきた。
「行かれるには」
「朝御飯には」
「私は今から一曲いえ二曲演奏します」
 日課のそれを行われるというのだ。
「そうしますが」
「そうなんですか」
「はい、今日の曲は」
 それはというと。
「ウルトラマンの曲を」
「特撮ですか?」
「はい、昨日視聴していまして」
「早百合さん特撮も観られるんですか」
「実は結構好きでして」
 意外な趣味だった、どうも特撮とは縁がある人には思えなかったからだ。 
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