八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百八十一話 体育祭が近付きその十
「実はまだ曖昧です」
「結構混ざってますよね」
「昔程ではないですが」
賭場がお寺や神社、お公家さんの屋敷の中で行われていた時代と違ってだ、暴力団新法が出来るまでは結構曖昧だったらしい。
「それでもです」
「まだ完全ではなくて」
「若し裏の人達が表で彼等の論理で動けば」
「その時は法律の出番ですね」
「そのうえで罰せられます」
「そうなるんですね」
「はい、要するに裏の人達と戦うなら」
畑中さんは僕にしっかりとした声で話してくれた。
「表に引き出してです」
「法律でやっつけるんですね」
「それが大事です、今の日本社会なら」
「それが一番ですか」
「八条家は裏には通じていません、ですが」
「表の世界に完全にいるからですね」
「法律には強いです」
そうした家だというのだ。
「優秀な弁護士の方を各国に雇っていますし」
「日本でもですね」
「はい、特に」
それでというのだ。
「法律には強いです」
「だからですか」
「裏社会の人が表に出たなら」
「その時はですか」
「対処出来ます」
例え裏社会に通じていなくてもというのだ。
「その場合は」
「つまり自分達が有利な場所に引きずり出すんですね」
「そうした戦いを挑めば」
「裏社会の人達もですか」
「対処出来ますので」
「だからですか」
「はい、総帥様ならそうされます」
裏社会の人達が相手ならというのだ。
「間違いなく」
「あの方ならですか。けれど」
僕は畑中さんの話を聞いて眉を曇らせて返した。
「うちの親父は」
「そうしたことが出来るか」
「そうした相手を自分の有利な戦場に引きずり出して戦うとか」
「策略ですね」
「そういうの出来ないです」
頭は悪くない、けれどあれで一本気な性格だ。策略とか謀略とかそうしたのとは全く無縁の人間なのだ。
僕も息子として知っている、それで畑中さんに答えた。
「もう相手に正面から挑んで」
「そうして向かわれますね」
「どんな人でも」
「裏の人達でもですね」
「はい、けれどそれでもですか」
「止様は勝たれます」
「それでお袋を取り戻すんですね」
僕は少ししみじみとした口調になって言った。
「そうなんですね」
「はい、そうされます」
「何もなかったらいいですね」
「相手が何をするかわからないからですね」
「ヤクザ屋さんですからね」
この人達を出して来るならだ。
「裏の掟って表じゃ外道ですからね」
「はい、それこそ殺人もです」
「躊躇しないですね」
「そうした人達です」
まさにというのだ。
「ですから」
「撃たれたり切られたり」
僕はあえてその危険を話に出した。
「そうしたこともあるかと思うと」
「その危険は確かにあります」
「そうですよね」
「止様は実際に撃たれました、当たりませんでしたが」
「その殺されかけた時に」
僕は畑中さんに驚いて問い返した。
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