八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百八十話 まさかのことその八
「そのつもりです」
「それならです」
「畑中さんもですか」
「お供します、そうしてです」
「僕を助けてくれるんですか」
「そのつもりです」
僕にこの考えも話してくれた。
「ご安心下さい」
「それじゃあ」
「秋田のこともよく知っています、そして」
「お袋の実家のこともですか」
「調べてきましたので」
それでというのだ。
「お供させて頂きます、そしてです」
「お袋をですね」
「お助け下さい」
「わかりました」
僕は畑中さんに確かな声で応えた。
「その時は宜しくお願いします」
「その様に。それにです」
「それに?」
「実は私は腹を立てているのです」
表情も口調もいつもと同じだ、そこから怒気は感じられないけれどだ。
「お母様のご実家の方々には」
「お袋を無理に連れ去ってですね」
「何年も閉じ込める様なことをされたので」
「お袋の意志に反して」
「そうです、お母様は止様を心から愛しておられてです」
「親父もですね」
「そうです、そのお二人を引き裂いて」
そうしてというのだ。
「何年もそうしてきているのですから」
「だからですか」
「私はお母様のご実家にはです」
「お怒りですか」
「それも非常に」
こう僕に話した。
「そうなっています」
「お袋の意志を無視してですか」
「強引に引き裂き閉じ込めるなぞ」
「乱暴にも程がありますね」
「ご結婚の時もそうでした」
親父とお袋が結婚したその時もというのだ。
「あくまで首を縦に振られず」
「暴力まで、ですね」
「止様に振るわれ挙句にです」
お顔には出ていない、けれど畑中さんには珍しい怒りをその言葉に少しだけれど込めて僕に話した。
「お命まで」
「物騒ですね」
「そのまま山に埋めるかダムに沈めるか」
「そこまでですか」
「されようとしていたとか」
「尋常じゃないですね、けれど」
僕は難しい顔になって畑中さんに話した。
「あの」
「止様のお命までとは」
「はい、そんなことまでするなんて」
「尋常ではないですね」
「そりゃ親父は遊び人です」
もうどうしようもないまでのだ、僕もこのことはよくわかっている。というより息子だから誰よりも知っているつもりだ。
「それも尋常でない、ですが」
「お命までとは」
「思えないんですが」
本当にとてもだ。
「幾ら遊び人のところに嫁にやれるかってなりましても」
「いえ、そのこともありますが」
「結婚を反対したりお袋を無理に連れ去って閉じ込めていることに」
「はい、他に理由があるのです」
「それは何ですか?」
「はい、それはです」
まさにというのだ。
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