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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百七十九話 マーマイトとキーウィその六

「死にそう、マトンやビーフがあっても」
「駄目ですか」
「相当ないと辛そう」
「それでウォッカがあるんですよ」
 僕はここでこのお酒を話に出した。
「ロシアには」
「お酒ね」
「はい、それを飲んで」
 もうロシア人の代名詞にもなっている、ウォッカを飲んで寒さを凌ぐのだ。
「一気にあったまって」
「寒さを凌ぐのね」
「そうしています、まあそれでも」
 飲んであったまることはいいことだけれどだ、このことは本当にロシアにおいては付いて回ることの一つだ。
「飲み過ぎて外で酔い潰れたら」
「そのまま凍死」
「そうなります」
「それが怖いけれど」
「ですから飲むならですね」
 何かロシア人は外を歩いていても仕事中でも飲んでいるそうだけれどだ、このことはあのソ連も止めなかったらしい。
「お家の中かお店の中で飲んで」
「外では寝ない」
「そうすべきですね」
「お店で飲んだらすぐにお家に帰る」
「そうしないと」
 間違っても外で寝ないことだ。
「本当に死にますね」
「恐ろしい国、ロシア」
「まあそうですね、ただ」
「ただ?」
「面白い国ではありますよね」
 桁違いの寒さの国でもだ。
「酔って外で寝たら死にますけれど」
「確かに。ロシアの娘とお話もしたけれど」
「どんな人でした?」
「とてもいい娘。美人だけれど素朴で親切で」
「ロシア人気質って言われていますね」
「しかも無欲」
 あの寒さの中助け合って生きているせいかロシア人気質はこうしたものだと言われている、同じ大国でもアメリカや中国とはまた違う国民性みたいだ。そして日本人ともまた違う国民性だ。
「とてもいい娘」
「そうなんですね」
「大学は八条大学に行くらしいわ」
 このことは八条荘の三年の人は皆言っている、どの人も成績を聞くと推薦合格は間違いのないところだ。
「私もだけれど」
「そうですか、大学もですか」
「八条大学に入って」
 そうしてというのだ。
「社会学を勉強したいそう」
「日本の社会学を」
「そう言っていたわ、ちなみに大酒飲み」
「そこもロシア人らしいですね」
「何でもロシア人からお酒を取ると暴れるとか」
「それはわたくしも聞きましたわ」
 ジョーンさんはロシア人とお酒の関係についてエリザさんの言葉に頷いて応えた。
「ロシア人はお酒をのんでいれば満足で」
「だからお酒を取られると」
「怒ると」
「それも相当に」
「生きていられないから」
 本当にそう言われているから凄い。
「そして太らないと」
「皮下脂肪を貯めてそうして」
「寒さを凌ぐと」
「そういえばその娘言ってた」
 ロシア人の先輩の人がというのだ。
「ロシアの女の人は太る」
「歳を取りますと」
「凄く太る、というか太っている方がいい」
「寒さを凌げてしかも頼もしいと思われるので」
「太る方がいいと」
「そう言われているそうですわね」
「しかもお髭も生える」
 このことは僕も聞いている、寒いから生えるらしい。北欧神話でこの世にあまりないもののうちの一つになっているけれどあるにはあるのだ。 
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