八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百七十九話 マーマイトとキーウィその五
「暖かい冬だって」
「そこまでですのね」
「八条荘は暖かい国から来てる娘が多いけれど」
もっと言えば暑い国だ、ブラジルにしても東南アジアにしても。
「それでもね」
「平均的に、ですのね」
「寒いと感じるかも知れないけれど」
これからの神戸の冬がだ。
「それでもね」
「欧州の冬と比べると」
「暖かいだ、相当じゃないと凍死もしないし」
「凍死もありませんのね」
「滅多にないよ」
日本ではだ。
「酔って外で寝てもね」
「ロシアの冬の様に」
「あの国はまた違うけれど」
社会問題になっている位の寒さだ、交通事故よりも酔って外でそのまま凍死する人の方が多いとか日本では考えられない。
「それでも凍死は昔からね」
「滅多にありませんのね」
「うん、ないよ」
あるにはあるけれどだ。
「相当な吹雪でもない限りね」
「その相当な吹雪も」
「いつもじゃないから」
流石に東北はいつも雪が積もっている様な状況だけれどだ、北海道もそうにしてもだ。
「だからね」
「まだですのね」
「ましだよ、欧州と比べれば」
「そうですのね」
「ずっとね」
「雪は見たいけれど」
エリザさんがここでまた言った。
「寒さはどうも」
「嫌ですよね」
「それが心配、砂漠の夜みたいなものだと」
「どうですかね、砂漠の寒さは」
それはだ。
「また違いますよね」
「夜になると急になるから」
「そういうのじゃなくて」
「いつもなのね」
「マイナス三十度位普通ですよ」
「そこまで寒くないから」
エリザさんはマイナス三十度という言葉に即座に返した。
「流石に」
「そうですよね」
「マイナス三十度にまではならないから」
「まあロシアとか北欧は特別です」
まさに地獄の様な寒さだ、極寒地獄というけれどそれはシベリアに実際にあるというのは言い過ぎだろうか。
「本当に」
「そんな寒い場所に放り込まれたら」
「死にますよね」
「普通の服装なら」
そして普通の食べものならだ。
「多分マーマイトでも」
「ベジマイトでもですね」
「耐えられない」
身体がもたないというのだ。
「あれは栄養があるけれど」
「身体にはいいんですね」
「まずいけれど」
このことは本当に否定しないエリザさんだった。
「身体にはいい」
「それでエリザさんもですか」
「時々食べたくなる、それでも」
「ロシアの冬にはですね」
「無理そう」
マイナス三十度もの極限の寒さの前にはというのだ、そもそもそんなところだから流石に人口密度も低い。シベリア辺りは相当なものだ。
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