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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百七十九話 マーマイトとキーウィその四

「けれど絶対にロシアよりはずっとまし」
「あそこは別格ですから」
 あと北欧もだ、こうした地域はとにかく寒い。
「オーロラも出て」
「南極みたいに」
「北極圏ですから」
 サンクトペテルブルグはもうこう言っていい位だ。
「それで、です」
「もう寒さは別格」
「日本だと北海道以上ですね」
 あそこよりも絶対にだ。
「というか北海道ってパリより南ですからね」
「パリよりも」
「はい、一番北で」
 宗谷岬でもだ。
「パリよりも寒さはましらしいです」
「それは意外」
「案外寒いんですよ、パリは」
「そうだったの」
「ロンドンやベルリンも」 
 こうした街々もだ。
「スコットランドなんか特に」
「ネッシーのいる場所も」
「はい、実は」
「それは意外」
「まあニューヨークとか北京も寒いですが」
 北京なんて長い間中国では僻地扱いだった、幽州といってあの辺りは中原から見て春秋時代から宋代にかけて僻地だった。宋代なんかは遼の領土だった。
「パリはもっとらしいです」
「寒いの」
「そうなんですよ」
「そういえば狼も出ましたわね」
 ジョーンさんは僕のこの話をしてきた。
「冬のパリを包囲していたという」
「クルトーかな」
「恐ろしい狼だったといいますが」
「らしいね、あそこ結構獣害にも縁があるから」
 フランスという国自体がだ。
「ジェヴォダンの野獣とか」
「多くの人を殺したという」
「この野獣狼じゃないらしいけれど」
 その行動がどう見ても狼のものじゃないからだ、とはいっても野獣が何だったのかは今も諸説があってわからない。
「それでもね」
「獣害はですね」
「あったし寒さもね」
「凄かったのですか」
「そうなんだ、欧州はもうね」
 その殆どの地域がだ。
「日本よりも寒いよ」
「この神戸よりも」
「ずっとだよ」
「ニュージーランドよりも」
「寒いと思うよ」
「マオリ族の方はとても」
「あの民族衣装だとね」
 僕はここで思わず笑ってしまった、南洋独特のあの薄い生地と露出が多めの服装ではどう考えてもだ。
「欧州では暮らしていけないよ」
「やはりそうなりますわね」
「絶対にね」
「ニュージーランドは遥かに過ごしやすいのですわね」
「絶対にそうだよ、日本もね」
 この神戸にしてもだ。
「冬は寒くても」
「欧州程ではありませんわね」
「絶対にね、ここの冬は北海道よりずっとましだし」
 東北や北海道は神戸から見ると完全な寒冷地だ、確かに六甲おろしがきついけれどそれでもずっとましだ。
「その北海道よりもね」
「欧州は寒くて」
「もう北欧とかロシアはね」
「別格ですのね」
「だってフランスから来た子が冬に言ったから」
 中二の頃同じクラスだったビクトル君がだ、この名前から姓はゴールといったのにユゴーとかジャン=バルジャンとか言われていた。 
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