魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~
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Epica25-Aインターミドルの好敵手~Rival~
†††Sideヴィヴィオ†††
最後の大隊にわざと捕まって、本拠地がどこかを確認しようっていうわたしの提案は無事に通った。フェイトママにはとっても心配をかけたり、不安にさせたりしちゃうだろうけど、わたしは守られてるだけはイヤ。わたしにしか出来ない事があって、その覚悟があるなら・・・。
・―・―・回想です・―・―・
なのはママとフェイトママから許可を貰ったわたしは、ルシルさんと一緒に部屋を出て、「入るぞ、シャル」さんの部屋へ。ルシルさんがノックしてすぐ「どうぞ~♪」シャルさんから入室の許可が入った。
「お邪魔します!」
「いらっしゃい、ルシル、ヴィヴィオ。アイリは先に来てるよ」
シャルさんの天蓋付きのベッドの上でくつろいでるアイリが「やっほ~♪」って、わたしに手を振ってくれたから、「やっほ~♪」わたしも手を振り返した。そんなわたしやルシルさんを出迎えてくれたシャルさんが「ささ、適当に座って」って床にクッションを置いてくれた。
(猫ちゃんのクッション、可愛い♪)
座るタイプの円いアニマルクッションシリーズだ。シャルさんは犬、ルシルさんは狸のクッション。フカフカで肌触りがすごく良い。お尻でフカフカを味わってると、「さて。ヴィヴィオ」って、クッションに胡坐で座ってるルシルさんがわたしを見た。
「まずは、君の勇気に感謝する」
「ホントに。ヴィヴィオ、ありがとうね」
ルシルさんとシャルさんが頭を下げたから、わたしは「あぅ、そういうのやめてください」って首を横に振った。わたしはわたしに出来る事をやるだけだから。アリサさん達のような被害者を出さないために・・・。
「本当になのはやフェイトに似てきたね、ヴィヴィオ。目の力強さはなのは譲り、優しさはフェイト譲り」
「フォローしておくが、なのはも十分優しいぞ。それと同じように厳しいがな」
ルシルさんの言うことに「うん」わたしは頷き返した。そんな優しくて強くて厳しいママ達のためにも、わたしは頑張る。みんなでにこやかにしてるところで、シャルさんが小さく溜息を吐いた。本題が始まるんだって判って、わたしは居住まいを直した。
「ヴィヴィオ。あなたは大隊から最優先で狙われてる。そこでわたしとルシルはそれを利用して、以前からヴィヴィオを送り込んで連中のアジトを探る・・・なんて、あなたの意思を聞かずにそんな作戦を立てていたの」
「君やフォルセティ、イクス、アインハルトにあげたプロミスリングを作るのに結構時間が掛かったが、準備は整ったというわけだ」
右親指にはめたプロミスリングを撫でる。ルシルさんの話だと発信機の役割を持っているようで、わたしがいつどこで拉致されても、転移先を即座に割り出せるって話だ。
「基本的に肌身離さず持っていてほしい。それが発信機としての役割としてではなく、ヴィヴィオである証ともなる」
「証・・・?」
「普段からそのリングを付けていれば、大隊の連中はそれを目印として見るだろう。連中の目をリングに向けさせてしまえば、俺の作戦は・・・」
ルシルさんから語られた作戦は、わたしに危険が及ぶ確率が限りなく低いもので、わたしの決意がちょっと空回りしちゃうようなものだった。でもルシルさんは「俺の望むタイミング外で来られたら、その時は・・・一応覚悟はしておいてくれ」って、わたしに気を引き締めるように言った。
「うんっ。・・・あの、すぐに助けは入るんだよね・・・?」
「最低でも2分は欲しい。ヴィヴィオを拉致した状態での最初の転移で、いきなり本拠地へ向かうという真似はしないだろう。追撃の足止め戦力の居る場所に一度転移しておいて、さらに何度か転移すると考えている。だから・・・」
「最低で2分・・・」
「ヴィヴィオ。連中はあなたに危害を加えることはないと思うの。拉致なんて回りくどい手を選ぶ以上、聖王女としての何かが必要なのよ。でも利用するにも拉致してすぐってわけにもいかないだろうし、ギリギリ2分がちょうどいいリミットなわけ」
捕まった先でわたしに出来る事なんてあるのか判らないけど、実際に狙われてる以上は何かさせようっていうのは判る。その何かをさせられる前に助け出されたらわたし達の勝ちになるんだ。
「そういうわけで、俺とアイリはほぼ付きっ切りでヴィヴィオ達の護衛に入る」
「ん。サポート役が居なくなるのはちょい痛いけど、今後の大勢を考えれば必要な事だし。問題ないよ」
「アイリも、ヴィヴィオのために精一杯がんばるよ!」
「じゃあヴィヴィオ。頑張ろうね」
そう言ったシャルさんがわたしの頭を撫でてくれて、わたしは「はいっ!」力強く返事した。
・―・―・終わりだよ~・―・―・
ルシルさん達との秘密作戦会議から4日。その間、最後の大隊からの襲撃もなく、さらに言えば次元世界でも一切の活動が行われなかった。シャルさん達いわく、嵐の前の静けさとして警戒した方がいい、とのこと。
「チームナカジマ、点呼!」
わたし達チームナカジマの監督兼コーチを務めるノーヴェの号令に、わたし、コロナ、リオ、アインハルトさんの順で番号を言っていく。さらにサポート隊のフォルセティが「5!」と、イクスが「6です!」って続いた。
「おしっ。全員揃ってるな。予選開始まで残り約半年というわけで、それぞれの長所をさらに伸ばすための特訓も増やしていく。ヴィヴィオ、お前の基本スタイルであるカウンターの錬度上昇プラス格闘技全体のスキルアップ」
「はいっ」
「コロナは、ゴーレムの創成・操作の精度向上だ」
「はい!」
「リオは、春光拳と炎雷魔法の徹底強化プラス武器戦闘の特訓だ」
「はいっ」
「ま、その練習は午後からになるわけだが。午前はスパーリングだけを行うぞ」
そして最後にアインハルトさんを見たノーヴェは「以前にも伝えたが、あたしには覇王流は教えられない。が・・・」って前置きした後、フライハイト家の地下にあるココ、プライベートジムの出入り口にあたる更衣室へ続くスライドドアに視線を向けた。
「オットー、ディード!」
シャルさんの妹でイクスのお姉ちゃんになる2人の名前を呼んだ。出入り口から現れたのは、この前出会ったヴィクターさんや番長と同じ、インターミドルで活躍してるトップ選手の1人、「ミカヤ・シェベル選手・・・!?」で、袴姿でオットーと一緒に更衣室から出てきた。
「来たよ、ナカジマちゃん!」
ミカヤ選手がノーヴェを、ナカジマちゃん、って呼んで、ノーヴェも「ミカヤちゃん、遠くまで悪いな」って手を挙げた。どうしてそこまでミカヤ選手と親しいのか判らないわたし達は、「え? どういう関係?」って驚いた。
「おう、ちょっと待ってくれ。もうひとりゲストがいるんだよ」
「ああ、彼女はどうやら私に緊張してしまったようで、着替えるのに少し手間取っているようだよ」
「ミカヤちゃんもすごい選手だからな~。憧れてる新人選手は多い。ヴィヴィオらもそうみたいだしな」
ヴィクターさんや番長に続いて、ミカヤ選手のようなすごい選手と知り合いになれてるってことに、わたしはもう興奮し続けてた。そんなところに「お、お待たせしてすいません!」謝罪の声がジムに響き渡った。
「あれ!? ミウラ!」
「あっ! フォルセティ君! お久しぶりです!」
遅れてやって来たのは、トレーニングウェア姿のミウラさん、それにディード。フォルセティが大きく手を振ると、ミウラさんも緊張の面持ちから満面の笑顔になって、手を振り返しつつフォルセティのところに走ってきた。
「こらこら、ミウラ。知り合いのところへ向かう前に、まずはこっちに来てくれないか?」
「うあ!? す、すいません、つい!」
注意されたミウラさんは慌ててノーヴェとミカヤ選手のところに駆け寄った。ノーヴェは改めてアインハルトさんを見て、「早速、スパーリングの相手を用意したぞ」って、ミカヤ選手を見た。
「君たちの反応からして私の事は既知だと思うけど一応、自己紹介をしておこうか。抜刀術天瞳流、ミカヤ・シェベルという。ナカジマちゃんやヴィクター、番長たちから、君たちの事情は伺っているよ」
ミカヤ選手の話を聞いて、先日ノーヴェがヴィクターさん達にお願いしては話を思い出した。アインハルトさんの覇王流を崩さないための、公式試合の経験者をスパーリング相手として紹介するっていう・・・。ホント最近の話なのに、アリサさんやティアナさん、囮作戦のことなんかですっかり忘れちゃってた。
「ん。じゃあ次は・・・」
「は、はいっ! 八神道場門下生、ミウラ・リナルディです! 今日は、ヴィータ師匠とノーヴェさんのご好意で、その・・・一緒に練習することになりました! よろしくお願いします!」
ミカヤ選手とミウラさんの自己紹介に、わたし達チームナカジマも自己紹介をした後、ノーヴェが「アインハルトは、ミカヤちゃんとのスパーリングで、斬撃技の対策を練れ」ってアインハルトさんに言った。
「徒手格闘型、さらに言えばバリバリの近接型と聞いているよ、アインハルトちゃん。ゆえに斬撃の危険性、それに武器と素手の間合い差が持つ危険性を判ってもらえるといい」
「アインハルト。ミカヤちゃんはマジで強い。だからミカヤちゃんの言う事も理解できるはずだ」
「はい・・・!」
「その代わり、私としても君のような近接特化の徒手格闘型との試合で学ばせてもらうよ」
「何を、でしょうか・・・?」
アインハルトさんがそう尋ねると、「何もさせずに斬り伏せる術を、ね」ってミカヤ選手が微笑んだ。ゾワッと背筋が震えた。
「ほら。私の務める道場は当然ながら剣士ばかりで、格闘型はいないんだよ。だからナカジマちゃん達からの申し出は嬉しいんだ。ま、利害の一致、というやつだね」
「判りました。お役に立てるよう頑張ります」
やる気を漲らせて見詰め合うアインハルトさんとミカヤ選手に、「2人は奥の試合コートを使ってくれ」って伝えて、さらに・・・
「ヴィヴィオ。お前はミウラと試合だ。八神家道場、期待の新星にしてヴィータさん達の弟子だ。当然、来年のインターミドルでライバルになるわけだ。同じ新人でもこれくらいの実力を持ってるってことを体験しろ」
わたしとミウラさんの試合も組んでくれた。そしてコロナはオットーと、リオはディードとの試合で、それぞれの課題を行うことになった。試合場の4箇所に分かれて、わたしはミウラさんと対峙する。
「ヴィヴィオもミウラも頑張れ~!」
「はい、頑張ります!」
「うんっ、ありがとう!」
ミウラさんと一緒にフィルセティの応援に応える。フォルセティに格好悪いところは見せられないし見せたくない。だから「ミウラさん。お互い手加減無しで」って宣言しつつも、絶対に勝つって思いを強くする。
「あ、はい、もちろんです! ヴィータ師匠やザフィーラ師匠からも、全力でぶつかって来い、って言われていますから!」
そう笑顔で言ったミウラさんが構えを取ったから、「それじゃあお願いします!」ってわたしも構えを取った。
「結界を張るぞ。一応は個人のスキルアップの練習だ。チームメイトであると同時にライバルでもあるお前らだ。あまり見せ合うようなものじゃないと判断して、個別メニューの際はこうやって互いを見れないようにする」
ノーヴェが展開した空間コンソールのキーを打って、試合コートを4分割するように結界が展開させるとコロナ達の姿が霞んじゃった。トレーニング開始の合図として判断したわたしは、「それじゃあお願いします!」って告げた。
「はい、お願いします!」
試合開始の合図は無くても、わたしとミウラさんは呼吸が合ったかのように同時に攻めに転じた。突進力のあるミウラさん。繰り出されるのは右の上段蹴り。
――ヴィヴィオ。お前の欠点は?――
――魔力量も少なくて出力も弱い。だから防御が脆くて、攻撃の出力もいまいち。全体的にパワー不足、かな――
――なら美点は?――
ノーヴェからの問いにわたしは即答できなかった。わたしは格闘技選手には向いていない資質、学者タイプだから。それでも格闘技が好きで、強くなりたかったから、わたしはこの道から逸れる方へは行かない。
「ふっ・・・!」
突っ込みの速度を落とすことなく、わたしはミウラさんの上段蹴りを屈むことで躱した。立ち上がり様にがら空きな顎へとアッパーを打ち込んだ。
――目だよ。広い視野のおかげで距離を掴むのが巧い。その目を活かせる反応と動作の速さ、そして・・・――
「(前に出る勇気!)せいっ!」
ミウラさんがよろけたところで追撃、反時計回りに回転して左裏拳を脇腹に打ち込んだ。
「かふっ!?」
わたしの連撃でミウラさんはダウン。膝から崩れ落ちて仰向けで倒れると、『ミウラ!? 初撃を必ず食らうのは何故!?」って、文字通り頭を抱えたフォルセティが映るモニターが展開された。その言葉を聞く限り、フォルセティ側からならわたし達のトレーニングを観られるみたい。良かった。今のわたしの一撃、観てもらえてた。
「あ~、世界が回ってます~」
「綺麗に顎に食らったから、ミウラもさすがにダウンしちゃったか~」
フォルセティが結界内に入ってきて(魔法攻撃だけを外に通さないためのものだからね)ミウラさんの様子を診た後、「ミウラ~、大丈夫~?」って声をかけ始める。とすぐに「ハッ! ボクは・・・!」ミウラさんが起き上がった。
(結構本気で打ったのに、回復が早い・・・?)
「あの、ヴィヴィオさん! もう1戦お願いします!」
「あ、はい! こちらこそお願いします!」
そうしてわたしとミウラさんは、フラフラになるまで試合を続けた。途中で防護服着用の魔法あり戦も行ったけど、「あぅ、また負けた・・・!」はふぅと大きく息を吐く。ミウラさんとは5戦2勝2敗1引き分けで、勝敗は拮抗。ミウラさん、一撃一撃が重いし動作も速いし、わたしの防御じゃ容易く貫かれちゃう。カウンターを主体とする格闘スタイルだけど、捌ききれない連撃や速度で来られると直撃を貰っちゃうわけで・・・。耐え切れずによろけたところで追撃によって撃沈で2敗。
(ミウラさん・・・。ストライクアーツ歴はわたしより短いみたいだけど・・・)
ミウラさんとの試合が脳裏に流れる。本当に強かった。でも負けてない。目に映るのは打倒するべき相手だけ。それに集中していると神経が研ぎ澄まされて、どこまででも、いくらででも戦える気がしてくる。まだまだわたしは強くなれるんだって思える感覚だった。
「おーし! 全体、一度休憩を挟むぞー!」
ノーヴェからの指示に、休憩してからの6戦目をやろうと考えてたわたしとミウラさんは「ありがとうございました!」と一礼して、結界が解除された試合場の端に居るノーヴェのところまで駆け足。ミカヤ選手とミウラさんはノーヴェの隣に立って、わたし達チーム海鳴は3人の前に整列する。
「一度休憩を挟んで、相手を変えてスパーリングを行うから、しっかり休めよ!」
「「「「はいっ!」」」」
「皆さん、スポーツドリンクとタオルです!」
「やっほー!」
「手伝いに来たよ~!」
イクスと「ルールー、リヴィ!」が、人数分のスポーツドリンクのボトルが入った籠と、折り畳まれたタオルを抱えてわたし達のところへ来てくれた。イクスからタオルを貰って、ルールーやリヴィからはボトルを受け取った。屋敷の外は寒いけど、ジムの中は比較的に温かいし、激しい運動で汗も掻く。
「ありがとう、イクス、リヴィ♪」
タオルで汗を拭いてスポーツドリンクを飲みながら、「ノーヴェ、終わったよ~」ってルールーとリヴィが報告してるのを見る。なんだかんだで2人は、わたし達の冬休みが終わるまで滞在してくれることになった。
――良かったの? カルナージに帰らなくて・・・――
――ヴィヴィオ達が大変だって言うのに、用事が済んだらバイバイ♪なんてことは出来ないでしょ?――
――そうそう。ママも、ヴィヴィオ達の為になる事をしてあげなさい、って言ってくれたし――
――それに、ヴィヴィオ達とのトレーニングも好きだし――
――トレーニングに付き合うと、もれなく強くなれる。う~ん、私たちもコーチが欲しいね~――
持ちつ持たれつな理由だったけど、わたしを心配してくれてることは確かだったからとても嬉しかった。
「ヴィヴィオさん、改めてありがとうございました! ボクもまだまだ鍛錬が足りてないってことを気付かされました!」
「あ、いえ。わたしも気付けなかったことを多く学ばせてもらって・・・!」
ミウラさんの年齢って確か11歳。年上なのに敬語なんだよね・・・。フォルセティはフォルセティでタメ口利いてるし。以前の買い物でミウラさんと初めて会った後、フォルセティから、ミウラさんはそういう子だ、っていうのは聞いてたけど・・・。
「ボク、もっと強くなりたいです。・・・ボク、昔っから不器用で、ドジばかり繰り返すダメな子だったんです。だから自分のことが本当に嫌いで・・・。自分に自信を持つことも、人に褒めて貰えるようなこともなくて。だけどザフィーラ師匠やヴィータさん、八神家の皆さんと出会って、ストライクアーツを始めて・・・。初めて充実した時間を得られたんです」
それが、ミウラさんの起源みたい。わたしも「初めはママ達との約束でした」って、自分の起源をポツリポツリと話した。強くなるっていう約束から始まったわたしも、今やチームナカジマのリーダーで、一緒に頂点を目指す仲間と鍛錬の日々。当時のわたしは思いもしなかっただろうな~。
「そうなんですか~」
「格闘技を始めた理由を教え合ってるの? あたしは、実家が春光拳っていう拳法の道場で、格闘技が生活の一部でした!」
「えっと、わたしはヴィヴィオ達と一緒に居たくて・・・。ストライクアーツを辞めちゃったら、友達関係も終わっちゃうんじゃないかって馬鹿な考えしてたんだけど。今は楽しく一緒に頑張ってます♪」
「・・・私は、覇王流が最強の戦技だということを世界に示すためですね」
リオとコロナがそれぞれ起源を話した後にアインハルトさんへと視線を向けたから、アインハルトさんもそう話した。最後にルールーとリヴィが、「我が家が経営してるホテルアルピーノの宣伝のため!」って力説したところで、「面白そうな話をしているね」ってミカヤ選手とノーヴェがやって来た。
「あ、ミカヤ選手は・・・」
「ミカヤで構わないよ、ヴィヴィオちゃん。私が天瞳流の門を叩いたのは、ある人に憧れたからだ。自分の身の丈ほどもある刀を振るって悪を倒すその姿が、子供心に強烈な印象を与えた。私もあの人のように刀で強くなりたいと、ね」
その思い出を懐かしむように目を伏せて微笑むミカヤさん。その憧れの人って誰なのかが気になったわたし達は、「誰なのか教えてもらってもいいですか?」って聞いてみた。
「ん? ああ、構わないよ。その人というのは・・・」
ミカヤさんがそこまで言いかけたところで、「おっす~♪」って挨拶と一緒に、「シャルさん・・・!」がジムに入ってきた。
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