夢幻水滸伝
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第七十話 山と海その九
「この通り」
「そういうことやな」
「すき焼きにも合うし」
そのこともあってというのだ。
「よお飲めるわ」
「そやねんな」
「しかもこのすき焼きお肉以外も美味しいし」
「葱、菊菜、お豆腐、茸全部な」
「これはかなりええすき焼きやで」
「全部ここの野菜やで」
芥川は肉以外のものの話もした。
「茸もお豆腐もな」
「どれも質ええけど」
「この辺りも土地がええし水も奇麗やからや」
「お野菜とか美味しいんやね」
「そや、大和はかなり恵まれてる場所や」
「それでその大和を手に入れたことは」
「かなりええことや、ただな」
ここでだ、微妙な顔になって言う芥川だった。
「一つ気になることは」
「何なん?」
「いや、奈良に星の奴が四人おるやろ」
「あっ、傭兵の」
「そや、あの連中僕はよお知らんけど」
それでもというのだ。
「何なんや?」
「ええ娘達やで」
「女の子かいな」
「そやで」
そうだというのだ。
「四人共な」
「女の子か」
「星の子女の子も多いから」
「それであの四人は全員女の子か」
「起きた世界やと一年生やで」
綾乃は八条学園での彼女達のことも話した。
「そこでもいつも一緒におるらしいで」
「四人でか」
「そうらしいで」
「そやねんな」
「とにかくな」
「ああ、傭兵で四人おるんやな」
「何かあったら雇えるで」
「既に我々も雇ったことがあります」
控えていた官吏の一人が言ってきた。
「山賊征伐に」
「そうやったんか」
「はい、今は世界各地で仕事をしているらしいです」
「銭貰ったら動くってことやな」
「はい」
その通りだとだ、官吏は芥川に答えた。
「所謂何でも屋で農業や商業の内政にも携わるとか」
「そっちも出来るんか」
「ですが汚れ仕事はしないとのことです」
「暗殺とかはか」
「そうしたことは専門職ではないそうで」
それでというのだ。
「あと人の道に反することは」
「せんのか」
「そう言っています、ただし四人共いい加減で目を離すとすぐに怠けます」
そうした者達だというのだ。
「四人で集まって甘い飲みものやお菓子を食べながらお喋りをすることが好きです」
「こっちの世界でもそうするか」
「というのが宰相殿のお言葉です」
「太宰のか」
「はい、あの方が言われています」
「まあ太宰が目を光らせたら大丈夫やろけどな」
「弱いものいじめや罪になることは一切しないので」
その四人はというのだ。
「そこは安心していいです」
「いい加減でも人の道は外れてないんやな」
「左様です」
「そうか、しかしそんな連中も星の奴やとな」
それならと言う芥川だった。
「やがて迎え入れるな」
「そうなるね」
綾乃もその通りだと応えた。
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