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夢幻水滸伝

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第七十話 山と海その八

「それでや」
「こっちの世界でもやね」
「丁度その榛原の近くに来たしな」
「すき焼きにしてやね」
「食べようと思ったんや」
「それで今食べてるんやね」
「そういうことや」 
 芥川は笑いながら綾乃に話した。
「こっちの世界でもこの通りな」
「美味しいんやね」
「そや、それでや」
「それで?」
「お酒はな」
 二人共夜なので酒も飲んでいる、その酒は日本酒であるが。
「大和のお酒や」
「あっ、そうなんやね」
「奈良盆地のな」
「このお酒美味しいで」
 綾乃はその日本酒、清酒を飲みつつ芥川に話した。
「それもかなり」
「お水がええさかいな」
「それでお酒もええんやね」
「ええお米はええお水が作るやろ」
「それでええお米がええお酒を造る」
「それでや」
「大和のお酒も美味しいんやね」
「大体関西はお酒が美味いけどな」
 水がいいからである、それ故にだ。
「この大和のお酒もや」
「この通りやね」
「美味いんや」
 杯の中の酒も楽しみつつだ、芥川は綾乃に話した。
「お水がええからな、あとデザートはな」
「すき焼きの後はやね」
「〆はうどんやけど」
 その後はというのだ。
「柿やで」
「やっぱり大和名物やね」
「綾乃ちゃん柿も好きやろ」
「大好きやで」
 綾乃はにこりと笑って答えた、糸蒟蒻を麺の様に食べながら。
「そっちもな」
「それやったらな」
「柿もやね」
「楽しもうな。しかしな」
「しかし?」
「綾乃ちゃん今日もよお飲むな」
 見れば芥川の倍の勢いで飲んでいる、しかも顔は白いままで酔っている感じは全く見られない。まるで水を飲んでいる様だ。
「ほんまお酒強いな」
「これ体質やね」
「ザル体質か」
「お酒はそれこそ」
「幾らでもか」
「日本酒三升空けたこともあるし」
「三升って」
 芥川もこれには驚いた、瓶で三本合わせて五・四リットルである。
「それだけ飲んだんかいな」
「それで次の日平気やったわ」
「二日酔いになってなかったんか」
「ウイスキーでボトル五本空けたけどな」
 そちらもそれだけ飲んだことがあるというのだ。
「やっぱりやったわ」
「二日酔いにならんかったんか」
「ほんまにお酒は」
 そちらはというと。
「強いみたいやで」
「ウワバミやな」
 芥川はついついこの言葉を出した。
「ほんまに」
「よお言われるわ」
「お酒好きでやな」
「ほんまに好きでな」
「酔わへんねんな」
「あっちの世界でもこっちの世界でも」
 種族はこちらの世界では光の精霊だが、というのだ。
「ほんまに酔うことないわ」
「凄いもんや」
「自分でも思うで」
「それで今もやな」
「どんどん飲んでるで」
 言う傍から実際に飲んでいる。 
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