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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百七十六話 酷い人達その十二

「地獄に堕ちるよりです」
「悪い道に入ってるわね」
「はい、頼朝さんも誇りはありましたから」 
 そのうえで自分の悪評を正面から受けるつもりで義経さんも殺したし平家だけでなく奥州藤原氏も木曽義仲も滅ぼしたのだろう、少なくとも頼朝さんからは冷酷なイメージはあっても卑しいイメージはない。
「根っこからの悪人でも誇りがあったりして」
「卑しくはなかったのね」
「悪事も質があると思います」
 悪と言えば一言でもだ。
「悪人も」
「そしてその悪人の中でもね」
 ニキータさんもかなり嫌なものを見る顔で話した。
「日本の戦後のその人達は」
「とびきり悪質だよね」
「汚物みたいね」
「そこまで酷いんだね」
「ええ、餓鬼のことはよく知らないけれど」
 だから知らないというのだ、考えてみると餓鬼という存在も日本というか仏教の世界観独特の存在だ。
「汚物っていうとね」
「それだと通じるね」
「それだと思ったわ」
「卑しい悪事を繰り返して反省もしないから」
「何処までも腐っていくから」
 そんな連中に自浄能力がある筈がない、反省なくして自浄なしだ。
「だからね」
「それでだね」
「ええ、汚物だって思ったわ」
「そう言われても仕方ないね」
 ああした連中の所業を思い返すとだ、僕にしても。
「あまりにも酷いし何度も繰り返してるから」
「汚物よね」
「その域まで腐敗しているからね」
「腐っていってどうなるのかしら」
「うん、腐り果てたら」
 それこそだ。
「誰も近寄らなくなって」
「誰も腐ったところに行きたくないから」
「それでそこにいた連中が死んでいったら」
「後には何も残らないのね」
「そうなるか」
 若しくはだ。
「怒り狂った人達に断罪されるか」
「腐り過ぎて何もなくなるか」
「どっちかだろうね」
「どっちも嫌な結末ね」
「そうだね、けれど今のマスコミや知識人を見ていたら」
 日本人である僕としてはだ。
「断罪してまだ腐っていくからまだ害毒を垂れ流すよりもね」
「その前になのね」
「断罪されるべきだね」
「そうしないと駄目ってことね」
「うん、さもないとまたおかしなことをするからね」
 僕はニキータさんに顔を曇らせて答えた。
「帰国事業や慰安婦みたいなことを」
「腐り果ててどうにもならなくなるまでに」
「この世にある限りそうだからね」
「もう悪事を働かれるのは沢山ってことね」
「うん、正直迷惑だから」
 慰安婦の報道みたいなことをされるとだ、日本にとっても日本人にとってもこんなに迷惑なことはない。ありもしないことをでっちあげて貶めるなんてことをされて笑顔でいられる人間がこの世にいるだろうか。
「だからね」
「切実ね」
「全くだよ、悪人もそこまでいくと」
 僕は今心から思って言った。
「餓鬼だよ」
「汚物に等しい連中ってことね」
「そうだよ、早く何とかしたいよ」
 ああした連中を許してはいけない、僕は心から思った。そうしたことを話しつつ二人と共に校舎まで歩いた。
 そうしてそれぞれのクラスに戻って午後の授業に入った、この日の午後も至って普通な日常のものだった。


第百七十六話   完


                   2018・2・15 
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