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夢幻水滸伝

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第六十九話 山賊征伐その十二

「一角の勢力や」
「それだけにやな」
「やっぱり強いやろ」
 数こそ少ないがというのだ。
「だからこそ戦も選んでるしな」
「そういうことやな」
「ほな明日やな」
「囲むわ」 
 こう言ってだった、そのうえで。
 芥川はこの夜も守りを固めたうえで兵を休ませた、そして翌日朝になって兵を進めてそのうえでだった。 
 遂に砦を囲んだ、芥川は砦を攻める姿勢で完全に囲んでからそのうえで使者を送った。そしてだった。
 彼は砦を見てだ、こう言った。
「ええか、ここで勧告を突っぱねたらな」
「その時はやな」
「陸と空からや」
 上を見上げた、そこには空船と飛ぶ種族の者達が集結していた。
「一気に攻める」
「そうするな」
「総攻撃を仕掛けたるわ」
「それで完膚なきまで叩くか」
「そうするわ、しかしな」
「しかし?」
「敵のうち半分は捕虜にした」
 五百人いる悪党のうちのというのだ。
「倒すかな、ほなそれやったらな」
「残り二百五十人やな」
「対するこっちは七千」
「流石にやな」
「もう勝負はついた、これでまた戦うとなるとな」
「相当なもんやな」
「星の奴でもおらんと出来んわ、ただな」
 芥川はここで言った。
「それはないな」
「星の奴の反応はないで」
「そやったらな」
 それならというのだ。
「もういい加減な」
「戦もやな」
「終わりや、相手も充分戦ったわ」
 悪党達の方もというのだ。
「納得したと思うわ」
「二日たっぷり戦ってやな」
「そうや、そう思うけどな」
「ほなこれで戦は終わりか」
「そうあって欲しいけどどうやろな」
「ここで勝ったら大和の南はやな」
「これといった勢力もおらんし」
 それでというのだ。
「紀伊との境までな」
「兵を進めていくな」
「そうするわ、それで佐藤兄妹と握手するわ」
「ああ、あの兄妹に連絡してみるか」
「そやな、今どんな状況かな」
 芥川は狐の言葉に頷いた、そうして兄の方に貝殻で尋ねると彼はこう言ってきた。
「はい、今一国完全にです」
「そうか、よおやった」
「いえいえ、それで今妹と合流しよう思うてます」
「それで今度は紀伊やな」
「そう考えてます」
「よし、こっちも今吉野や」 
 芥川は自分の話もした。
「そやからな」
「そこからさらにですか」
「大和の南を進んでいくからな」
「では」
「ああ、紀伊か大和の南でな」
「お会いしましょう」
 こうした話をした、そしてだった。
 芥川は貝殻を通しての話の後でまた悪党の砦を見た、そうして言った。
「さて、使者が持って来る返事次第でな」
「どうするかやな」
「そや、まあ攻めるにしてもな」
 悪党達が降ることを断ってもというのだ。
「その時はその時でな」
「攻め方を考えてるか」
「ああ、今考えてるわ」
「面白い攻め方をか」
「そや、まあ降ってくれるに越したことはないが」
「戦になったらやな」
「ちょっと面白いことしよか」
 こう言ってだ、そしてだった。
 芥川達は使者を待った、その使者は程なくして戻ってきたが返事は断られたというものだった。そこで芥川は言うのだった。


第六十九話   完


              2018・6・8 
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