八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百七十六話 酷い人達その一
第百七十六話 酷い人達
僕達三人は食堂を出た、その時にだった。
チェチーリアさんは僕に眉を顰めさせて言った。
「いや、森鴎外さんの酷さもわかったけれど」
「まあ脚気のことはですね」
「ええ、他にも色々とね」
権力志向が強かったり爵位を求めたりとだ。
「あったからね」
「お世辞にもですね」
「いい人じゃなかったのはわかったわ」
はっきり言えば人格的には偉人とは言えない人だった。
「それはね、けれどね」
「北朝鮮のことはですか」
「あの国を擁護する人達もね」
「ちなみに地上の楽園って言ってです」
他ならないあの国をだ。
「あの国に帰国した人が大勢いました」
「それでその人達はよね」
「一人もです」
まさに文字通りにだ。
「生きて帰ってきてないです」
「地獄に行ったのね」
「文字通りそうだったそうです」
喧伝していた人が北朝鮮に行って乗っていた電車でその帰国事業で帰った人に囲まれてあんたが言っていたことと違う、お陰で俺達の人生は台無しになったがどうしてくれるんだと問い詰められたことがあったらしい。
「それでも言った人誰も責任取ってないです」
「いや、責任取らないと」
「駄目ですよね」
「それ悪魔よ」
チェチーリアさんはこうまで言った。
「もうね」
「そうよね、そうした行いをする奴こそ」
ニキータさんもチェチーリアさんと同じ考えだった。
「悪魔よね」
「大勢の人を殺したんだから」
その主張によってだ。
「もうね」
「悪魔そのものじゃない」
「それじゃあね」
「森鴎外さんとどっちが酷いか」
「わからないわよ」
「本当にね」
「そうなんだよね、それどころか」
この話はさらにとんでもないことだった。
「帰国事業は政府のせいにしてるし」
「言ってた人達がなの」
「そうしてるの」
「ある新聞社とかね」
ネットでその度重なる捏造記事で批判されている新聞社だ、マスコミが意図的に嘘を言えば終わりだ。
「そう言ってるんだ」
「自分達が帰国していいって言ったのに」
「それで幸せになれるって」
「それでもなの」
「言った人達は」
「一人も」
文字通りだ。
「責任取ってないんだよ」
「切腹よ」
ニキータさんは明らかに怒っていた、そのうえでの言葉だった。
「そんなことしたら」
「そうしてだね」
「責任を取らないと」
「地獄に落ちた様なものだからね」
北朝鮮に行くことはだ。
「それも騙されて」
「地獄は悪いことして落ちるものでしょ」
あらゆる宗教でそうなっている、少なくとも善良な人間が何も知らなくて行く様な場所では断じてない。
「そうでしょ」
「それが、だからね」
「罪を犯していないのにね」
「騙されて落ちたら」
「騙した人はね」
それこそというのだ。
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