八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百七十五話 カレーを三人でその十三
「もう変態の域ね」
「変態なんだね」
「あんな国の何処がいいのよ」
「地上の楽園って言われてたから」
「何処が?」
「いや、そうした宣伝をあの国がしていて」
これは今でもだ、一人だけの楽園だとも言われる。
「共産主義を信じている人達がまともに惚れ込んで」
「そうしてなの」
「そんな擁護してるの」
「そうなんだ、本当に厄介な人達だよ」
僕達は心から思っている、この話をはじめて聞いた時からだ。
「もう宗教みたいになってる人もいるから」
「邪教?」
かなり真剣にだ、チェチーリアさんは言った。
「もう」
「まあ主体思想って妙ちくりんな思想ですからね」
平等を讃えている様であの首領様への絶対の忠誠を誓う思想だ、これじゃああの首領様が本当に神様だ。
「そんな思想の国でしかも現実は」
「ああよね」
「現実でもですよ」
「その現実は無視してなのね」
「言ってますから、誰もがカレーライスを食べられるどころか」
僕はそのカレーライスを食べつつさらに話した。
「大勢の人民が飢え死にしても放置ですから」
「それで軍隊とか核ミサイルとかよね」
「あと将軍様個人の贅沢です」
何とこれだけであの国の国家予算の二割という、軍事費が二割五分というからもう半分近い割合になっている。
「それにもお金注ぎ込んでますから」
「それ一番馬鹿よね」
「そうよね」
二人で僕の目の前で顔を見合わせて言った言葉だ。
「何といっても」
「軍隊とかにお金使う以上に」
「そこでお金かなり使うって」
「中南米でもあるけれど」
「そういう国だから」
もう信じられないけれどだ、本当にそんな国だ。そうしたことを話してだった。
僕はチキンカレーの最後の一口を食べた、その一口を食べるとお腹一杯になっていた。それはチェチーリアさんとニキータさんも同じで三人で席を立ってそのうえで僕達は食堂を出ることにした。食べ終わったらもう食堂にいる理由はなかった。
第百七十五話 完
2018・2・8
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