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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百七十五話 カレーを三人でその十

「そうしたわよね」
「負けて降る相手に」
「それがペルーでも有名なのよ」
「世界的に有名って聞いてますけれど」
「それでなの、私も知っててね」
「立派な軍人とですか」
「思うわ、私利私欲でやりたい放題する人じゃないでしょ」
「絶対に違います」 
 私がない、これに尽きる人だった。
「謹厳実直で自分に凄く厳しい人でした」
「質素でね」
「何しろ奮発してです」
 思い切り贅沢をしてだ。
「日の丸弁当っていう人でしたし」
「白い御飯の真ん中に梅干しがある」
「そのお弁当です」
 このお弁当のはじまりがこの人だったというのは八条学園ではよく教えられていて有名なことだ。
「あれでしたから」
「大将のお食事としては質素よね」
「はい、かなり」
「そんな人だからよ」
「立派な軍人ですか」
「私はそう思うわ」
「中傷する人もいますけれどね」
 その中傷している人間は軍事評論家というが戦前の日本軍や自衛隊の悪口ばかり言っていてそれでいて呆れたことに北朝鮮と関係がある人物だ、一体どういう立場の人間か考えるだけで馬鹿馬鹿しいことだ。
「そうした人も」
「中傷される人じゃないわよ」
 チェチーリアさんはまだ断言した。
「乃木大将は」
「立派な人だからですね」
「軍人としても人間としても」
「戦争が下手だって言われるんですよ」
「そうかしら」
「連隊旗を奪われて旅順でも苦戦して」
「いや、二倍相手なら負けるし」
 しかも死兵と言っていい相手だった、西南戦争で西郷さんが率いた士族の叛乱軍の強さはもうその域だった。
「旅順は相当な要塞だったでしょ」
「機関砲で完全武装してました」
 そこに要請している大砲が充分に行かず突撃に頼るしかない状況だった、あの突撃も無思慮故のことではなかったのだ。
「それで物凄い堅固でした」
「それじゃあね」
「戦争もですか」
「下手じゃないわよ、というか日本の名誉を高めたでしょ」
 軍人としてのその立派な振る舞いからというのだ。
「それならもうね」
「立派な軍人ですか」
「略奪とか一般市民への攻撃とかしなかったでしょ」
「それは一切」
 そんなことは絶対に許す人じゃなかった、武士として恥ずべき行いをしたり部下にさせる人では断じてなかった。
「しませんでした」
「それで日本の名誉を高めたならね」
「立派なんですね」
「本当にね」
「そうなるんですね」
「義和もそう考えてるでしょ」
「はい」
 僕もその考えだ、日本軍や自衛隊ばかり批判していてその実北朝鮮みたいなとんでもない軍事国家、先軍政治なんていう完全な軍事偏重政策を執っている国とつながっている様な人間に中傷される人じゃない。
「それは」
「じゃあね」
「乃木大将は立派な軍人ですね」
「これ以上はないね」
「ペルーではそうした評判ですか」
「私の中ではそうよ」
 少なくともチェチーリアさんの中ではというのだ。
「乃木大将はね」
「だといいですが」
「私も乃木大将は知ってるわ」
 ニキータさんも言ってきた。
「それでね」
「立派な軍人とだね」
「思ってるわ、あんな人はね」
「乃木大将みたいな人は」
「いないから」
 それこそというのだ。 
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