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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百七十二話 ワーウルフの話その十二

「悪いことばかりじゃないよ」
「スキー、それもでござる」 
 マルヤムさんはスキーと聞いて興味深そうに呟いた。
「期待しているでござる」
「熊や狼と一緒でだよね」
「マレーシアは熱帯にある国でござる」
「だったらね」
「スキー、いや雪はでござる」
 スキーに絶対必要なこれ自体がだ。
「ないでござるから」
「それでだね」
「見て楽しみたいでござる」
「他の東南アジアや中南米の人達と同じで」
「是非にでござる」
 こう僕に答えてくれた。
「行きたいでござる」
「そうなんだね」
「そしてでござる」
 マルヤムさんは僕にさらに話してくれた。
「スキーはでござる」
「是非共」
「楽しむでござる」
「そうだね、それもね」
「期待しているでござるから」
「そうなんだね、冬になれば」
 まさにその時はだ。
「雪も降ってね」
「楽しめるでござるな」
「そう、スキーもね」
「期待しているでござる、ただ難しいでござるな」
「あっ、初心者コースもあるから」
 僕はマルヤムさんにこのことも話した。
「だからね」
「難しくてもでござるか」
「そうしたコースで滑ればいいから」
「安心でござるか」
「うん、ただ無理はしないでね」
 マルヤムさんにこのことも話した。
「さもないとね」
「こけたりして怪我をするでござるな」
「ちゃんとしたこけ方もあるし」
「こけ方もでござるか」
「そう、柔道の受け身と同じで」
 柔道をしていれば絶対に投げられる、だから柔道をはじめる時は絶対にこの技から教えられる。逆に言えば受け身を知らない人に柔道の技をかけることは絶対にしてはいけない。大怪我をしかねないからだ。
「ちゃんとあるから」
「ではこけ方もでござるな」
「ちゃんと教えてもらってね」
「滑るものでござるな」
「ゆっくりでもいいし」
 スキーを滑るにはだ。
「ボーゲンでね」
「確か八の字で滑るでござるな」
「そうして滑ってね」
「怪我をしないことでござるな」
「うん、何よりもね」
 スキーを楽しむからにはだ、まずは怪我をしないことだ。
「そうしてね」
「それからでござるな」
「楽しむものだよ」
「左様でござるか、では冬になれば」
「六甲でね」
 そこのスキー場でだ。
「楽しもうね」
「そうさせてもらうでござる」
「まあ冬はね」
 まだ九月だ、それもまだ十五日にもなっていない、ついこの前まで夏だったことを思うとだ。
「まだまだ先だけれど」
「まずは秋よ」
 友奈さんが微笑んで言った。
「秋を楽しみましょう」
「日本の秋を」
「そしてね」
「秋を充分に楽しんで」
「そうしてからね」
「冬もでござるな」
「楽しみましょう」
 このことは順番だ、まずは秋になり冬になる。それが日本の四季だ。
「秋もね」
「ではこれから」
「学校では運動会も文化祭もあるし」
 その両方がだ。
「どちらも楽しみましょう」
「学校の行事もあるでござるな」
「秋のね」
 むしろ日本の学校の行事は秋に行われる、あと修学旅行もあるけれどうちの学校は今年は冬だ。二年の時にある。
「それに行きましょう」
「では」
「秋がはじまるわ」
 友奈さんは最後にこう言った、いよいよ夏が終わって秋がはじまろうとしていた。暑さはもうなくなろうとしていた。


第百七十二話   完


                   2018・1・15 
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