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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百七十二話 ワーウルフの話その十一

「僕も何度も話してるし」
「学園の中で」
「ご本人ともね」
「博士ご本人とでござるか」
「お話してみると穏やかで博識でね」
 こちらも噂通りだ、博士は人格面では悪い評判のない人だ。
「いい人だよ」
「悪魔博士と言われていても」
「全然違うから」
 むしろ仙人みたいな感じの人だ。
「変な仇名だと思うけれどね」
「悪魔ではないでござるな」
「凄くいい人だよ」 
 謎は非常に多い人だけれどだ。
「このことは確かだから」
「そうでござるか」
「うん、本当にいい人だから」
「拙者もお話をする時は」
「絶対に悪い印象は受けないから」
 僕はこのことは保証した。
「安心してね」
「わかったでござる」
 マルヤムさんは僕のその保証に笑顔で頷いてくれた。
「それではでござる」
「このことはね」
「安心してそのうえで」
「お会いしてね」
「そうさせてもらうでござるよ」
「さて、そろそろね」
 ここで友奈さんが僕達に言ってきた。夜に近付こうとしている夕暮れの街の中で。
「八条荘に着くわね」
「そうだね、あと少しだね」
 僕も周りを見て友奈さんに答えた、夕暮れの中だけれどいつも見ている本当に見慣れた光景の場所だ。
「下宿先だね」
「お話していたらすぐね」
「そうだよね」
「ええ、ただどうもね」
「どうも?」
「少し涼しくなってきたわね」
「ああ、そういえば」
 僕も言われて気付いた、確かに今日の今の時はだ。
「昨日に比べてね」
「涼しいわね」
「そうだよね」
「こうして少しずつね」
「涼しくなっていくよね」
「特に神戸はよね」
「うん、涼しくなりだしたらね」
 神戸に生まれ育っているだけによくわかっていた、神戸の気候のことは。
「もうそれこそね」
「すぐによね」
「涼しくなるよ」
 すぐ近くの大阪と違ってだ、大阪はどうにも熱気が出にくい街だ。
「後ろの山から風が下りて」
「海まで一気に吹いて」
「その風が涼しくしてくれるんだ」
「そうよね」
「だからね、涼しくなりだしたら」
 それこそなのだ、神戸は。
「一気にだよ」
「涼しくなるわね」
「そこから秋になって」
「涼しい秋なのね」
「それで冬は寒いよ」
 その風のせいでだ。
「だから覚悟しておいてね」
「冬はなのね」
「そうなんだ、けれど山でスキーも出来るし」
 六甲のスキー場でだ。 
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