| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六十七話 都に降臨その十六

「この世界はそうした世界です」
「最初から色々な種族が一緒に暮らしてるんやね」
「特に差別なぞなく」
「ううん、それはめっちゃええね」
「勿論人間間でも人種が違いますし各種族間でもです」
「人種の違いってあるんやね」
「はい、ホビットも黄色人種と白人と黒人がいますし」
 この小柄な種族でもというのだ。
「ドワーフやエルフも然りです」
「そやねんね」
「そうです、ダークエルフも同じで」
 このエルフの亜種と言われる種族もというのだ。
「顔立ちが人種によって違っていたりします」
「お肌の色は同じでも」
「そうです、そして種族間の民族の違いもありますし」
「ううん、ややこしいですね」
「そうした世界です、もうかなり複雑ですのね」 
 種族の状況が各種族間でもというのだ。
「尚且つ混在があまりにも進んでいるので」
「めっちゃ色々おる種族の人達が」
「ですからかえって差別等はない様です」
「はっきり分かれてるから差別も起こるんやろか」
「所詮差別は人の感情の中にある偏見です」
 太宰は差別というものをそうした低俗なものとして語って切り捨てた。
「日本でも部落差別等がありますが」
「あれは階級以前に生きものの肉とか皮とか扱ってて殺すから死の穢れの考えが関わってるらしいね」
「むしろそれが大きいでしょうね」
「そのせいでっていうけど」
「それも偏見です」
 そうしたものに過ぎないというのだ。
「ですから」
「差別はやね」
「はい、偏見によるもので」
「その偏見も色々雑多に混ざってるとやね」
「かえって起こりにくいものかも知れないですね」
「それこそ自分以外の誰もを嫌いになるしかない世界やねんね」
 偏見が強いと、とだ。綾乃もわかった。
「まあ世の中そうした人もおるけど」
「いますが極めて少ないです」
 こうした輩も実在する、極めて強いエゴイズムを持ち自分以外の生ある存在を全て強く嫌う鼬の出来損ないの様な輩が。
「ですからこちらの世界では」
「種族間やら宗教やら民族間の対立は」
「極めて少ない様です」
「成程なあ、それはええことやね」
「そうした世界も面白いですね」
「確かにな。ほなこれからな」
「はい、それではそうしたことも頭に入れて」
 そのうえでとだ、太宰は綾乃に話した。
「この世界での政を進め統一を果たし世界を救いましょう」
「世界を襲う驚異のことも確かめて」
 そうしてとだ、綾乃は笑顔で応えた。そうしてこの世界でも生きていくことを決意したのだった。星の者の一人として世界を救う為に。


第六十七話   完


                 2018・5・23 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧