夢幻水滸伝
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第六十六話 過去その十三
「一つあるわ」
「一つ?」
「そうや、山城のことは聞いてるか」
「ああ、あそこですか」
「都を拠点としてかなりの勢力が出来てるそうやな」
「はい、僕も商売の中で聞いてます」
山城のこともとだ、中原は芥川に話した。
「あっちにも神星の人がおって」
「それで結構な人材が集まってるらしいな」
「そうらしいですね」
「あっちの神星の娘はクラスメイトやし」
芥川は自分達の世界のことも話した。
「それでや」
「あちらとお話をしてですか」
「どうするか決めるわ」
「そうしますか」
「播磨進出を進めながらな」
「わかりました、ほなこれからは」
「宜しゅう頼むで」
芥川はまた中原に笑顔で応えた、こうして彼と堺は芥川が治める領地の中に入った。そうしてだった。
彼は中原を大坂城に連れて行き佐藤兄妹に紹介した、そのうえでこう言った。
「さて、これでや」
「堺が手に入って」
「しかも中原さんも一緒で」
「結構な勢力になった、中原は大砲も使えるそうやが」
それでもとだ、芥川は二人に話した。
「基本商業を中心として政をやってもらう、それで自分等はな」
「中原さんの政を助けて」
「それで播磨の方にですか」
「行ってもらうで、当然僕も政をして戦もする」
その両方を行うというのだ。
「そうしてくで、四人でな。それでな」
「山城の紫先輩ともですか」
「お話しますか」
「そうするわ」
こう答えた芥川だった、そして四人で食事を摂ったがこの時彼は四人で鍋を囲んでいたが芥川はその鍋料理を見て言った。
「現代風の水炊きやな」
「はい、四人で食べようと思いまして」
「それでこれを料理人に作ってもらいました」
佐藤兄妹が芥川に答えた。
「だしは昆布です」
「それを使ってます」
「それな、昆布ってな」
芥川はその昆布について述べた。
「実はあれやからな」
「はい、確か安土桃山時代以降でしたね」
「その時から食べる様になりましたね」
「大坂城築城してな」
話はその時に遡るのだ。
「その時にや」
「何かあれですね」
「石垣の石運ぶ際の下敷きに昆布使ってて」
「その昆布下敷き以外に使えるかって話して」
「食べてみたら美味しかったからですね」
「それからやしな、下着はトランクスやしゴムもあるし」
芥川はその昆布の味が出ている鍋を食べつつこうしたことについても言及した、鍋の中には白菜もあれば糸蒟蒻もある。
「戦国時代の日本とはかなりちゃうな」
「世界がちゃうだけに」
中原も言ってきた、狸の顔をほくほくとさせている。
「何かとちゃいますな」
「ああ、おもろい世界やな」
「他にも何かとちゃいますから」
「そうしたことも踏まえてやな」
「この世界でやっていきましょ」
「そういうことやな」
芥川は鶏肉を食べつつ中原に笑顔で応えた、そうして四人で仲良く鍋を食べて親睦も深めたのだった。
第六十六話 完
2018・5・15
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