夢幻水滸伝
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第六十六話 過去その十二
「あちらさんには伝えて下さい」
「それでは」
こうしてだった、中原は芥川と会うことにした。それで茶室で彼と会いまずは彼の名乗りを聞いてだった。
自分も名乗った、そのうえで芥川に問うた。
「それでなんですが」
「ああ、ここに来た理由やな」
「多分ですが」
こう前置きしてだ、中原は芥川に言った。
「僕を仲間に引き入れて」
「堺もな」
街もというのだ。
「そう考えて来たんやけどな」
「やっぱりそうですか」
「この街にはこのまま商いを自由に続けてもらってな」
「それでいてですか」
「領地に入ってもらう」
「独立した街やなくて」
「そうや、そうしてもらいたいけどな」
「そして僕も」
「そや、堺だけやなくてな」
芥川はここで笑みを浮かべた、そうして中原に言った。
「領地全体の街をや」
「整えて賑やかにすることをですか」
「自分に頼みたい、この堺みたいにな」
賑やかに栄えているこの街の様にというのだ、この世界の堺も戦国時代のそれの様にかなりの賑わいを見せている。
「そうしてくれるか」
「そして僕のお店は」
「ああ、自分も店持ってたな」
「そちらのことは」
「存分に商ったらええ」
芥川はこのことにも笑って答えた。
「存分にな」
「そうですか、僕は商いが大好きですから」
「そうした条件やとか」
「喜んで。ただこれは佐藤兄妹が来てもでした」
「仲間になるつもりやったか」
「それで何時来るか何時来るかって待ってたんですが」
「あの二人は結構抜けたところがあってな」
先輩としてこのことをわかっていて言う芥川だった、彼から見た二人は利発で頭の回転もいいがそうしたところもあるのだ。
「堺にはな」
「声をかけることをですか」
「してなかったんや」
「そうですか」
「けど僕はまずな」
「この堺も僕もですか」
「引き込まなあかんって思ってや」
領地の戦略、それをだ。
「声をかけたんやけどな」
「佐藤兄妹から声をかけられてもです」
「来てたか」
「そうしていましたし」
「今僕が言うた条件やとか」
「絶対にそうしてました、ほなこれからは」
「自分にも働いてもらうで。あと今僕等は姫路を目指してる」
播磨のこの国をというのだ。
「そして姫路城を拠点として播磨も治めていく」
「そうしていきますか」
「自分も戦えるか?」
芥川はここで中原にこのことを尋ねた。
「そっちはどや」
「大砲とか火薬使った戦なら」
「それやとか」
「はい、使えます」
「そやったらな」
「そっちでもですか」
「頑張ってもらうで、さて播磨も手に入れるけど」
ここでこうも言った芥川だった。
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