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夢幻水滸伝

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第六十七話 都に降臨その一

               第六十七話  都に降臨
 綾乃は気付いたらそこにいた、そこは室町時代の頃の日本を思わせる街並みで当時の服装で犬や狐や猫、蜥蜴の頭とそういった生物達の身体と人間の身体を合わせた二本足の者達が歩いている世界だった。
 その世界を見てだ、綾乃はすぐにこう言った。
「うち夢見てるんやな」
「そう思いたいか」
「というか実際夢の中におるけどな」
「その声は」
 綾乃がその声に応えると目の前に巨大な、全長百メートルは優に超える八つの頭と尻尾を持つ大蛇が宙に浮かんで綾乃の前にいた、綾乃はその大蛇を見てすぐに言った。
「八岐大蛇やな」
「そや、自分の神具や」
「それの一つや」
「神具って何なん?そもそも自分が急に出て来ても周りの人びっくりしてないし」
「そこはあれや、自分にしか姿見えん様にしてるんや」
「変な騒ぎ起こしたらあかんやろ」
 八岐大蛇は綾乃の質問にその八つの頭で答えた。
「気遣いってやつや」
「そこは忘れてないわ」
「そうなんやね、まあとにかくやね」
 綾乃は八岐大蛇の説明を聞いて頷いた、そのうえであらためて大蛇に問うた。
「うちは今夢の中におるって言うたけど。あとうち今巫女さんっていうか日本の女神様みたいな恰好してるけど」
「そうしたことも全部話すからな」
「今からじっくりとな」
 大蛇は綾乃に答えてだった、実際にこの世界のことをその八つの頭で話した。その話が終わってからだった。
 綾乃は納得した顔になってそうして大蛇に言った。
「とりあえずわかったわ、うちはこっちの世界に来た子の一人やねんね」
「そや、星のうちの一人や」
「大きな力を持って神具を使える星の一人や」
「その星の中でも特に力の強い神星の一人でな」
「神星の中でも頂点におる三極星の一人やからな」
「何かうち凄いことになってるな」
 綾乃は大蛇の説明にしみじみとした顔になって述べた。
「寝たら別の世界に来てて起きたら元の世界に戻ってて」
「それでこっちの世界では星のモンでや」
「この世界を救う義務があるねん」
「その義務誰が決めたかも気になるし」
 綾乃はこのことについても思った。
「それ以上にな」
「それ以上?」
「それ以上にって何や」
「いや、お腹空いたさかい」
 綾乃は大蛇に自分から言った。
「ちょっと今から御飯食べに行こうか」
「何食うねん、一体」
「それで」
「おうどんかおそばか」
 綾乃が食べようと思ったのはこうしたものだった。
「カレーライスもええけどこっちの世界にはないやろな」
「カレーか?あるで」
「こっちの世界は向こうの世界とはちゃうからな」
「そうした料理もあるしな」
「他にもステーキとか色々あるで」
「そうなん。ほなカレーうどん食べよか」
 綾乃は大蛇に応えてまずは適当な店を見付けてその中に入った、その店も木造で昔の日本の趣そのままだった。
 綾乃はその店の中の空いている席のうちの一つに座って着物と割烹着を着た若い娘の店員に注文した。
「カレーうどんとカツ丼あります?」
「その二つですか」
「はい、ありますか?」
「ありますよ」
 娘は綾乃に京都弁で答えた、見れば肌は褐色で目は緑色、長い髪の毛は銀髪で耳が尖っている。かなりの美貌だが人間ではなかった。 
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