夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第六十六話 過去その九
「これからな」
「ああ、全部の星が一つになって世界を統一して」
「この世界の脅威から救う」
「それに対してどうするか」
「そのことですね」
「そや、どないしよか」
芥川は考える顔のまま二人に話した。
「一体な」
「それやったらです」
「先輩大名になったらどうですか?」
二人は芥川に笑みを浮かべて話した。
「そうしたらどうですか?」
「これから」
「というとやな」
「はい、僕等の代わりのです」
「大坂の主になってくれますか」
二人で芥川に提案したのだった。
「私等は先輩の家臣になりますから」
「あっちの世界でも後輩ですから」
「それでどうですか?」
「三人で大坂とその周り治めませんか?」
「それで世界の統一もです」
「目指しませんか?」
「そやな、今はまだ何もわかってないけれどな」
それでもとだ、芥川は双子に答えた。
「自分等がそう言うんならな」
「はい、今は大坂にいて下さい」
「主として」
「他に行き場所もないみたいですし」
「そうして下さい」
「ほなな、じゃあまずは領地とその周りの状況教えてくれ」
芥川は二人に確かな顔になって頷いてそうしてだった。
大坂城そして摂津、河内、和泉の三国の主になった。すると早速自分達が治めている領地のことに周辺諸国のことを聞いた。
そのうえでだ、二人にこう言った。
「まずは堺やな」
「堺?」
「堺ですか」
「あの街に行きますか」
「そうしますか」
「そうしよな、そしてな」
そのうえでというのだった。
「出来れば堺もや」
「こっちに引き込みますか」
「そうしますか」
「そうするわ、しかし自分等何で堺は領地にせんかってん」
芥川は佐藤兄妹にこのことを聞いた。
「あそこは豊かやろ」
「いや、あそこは中原さんがおるんですけどね」
「商業科の二年の」
兄妹は芥川の問いにすぐに答えた、立場はもう完全に先輩と後輩若しくは師匠と弟子のそれになっている。
「そろそろ一緒になろうかってお話しにいくつもりでした」
「けど摂津、河内、和泉の政が忙しくて」
「播磨にも進出してますし」
「姫路城目指してます」
「それでか。けど堺は是非手に入れなあかん」
芥川は二人に腕を組んだ姿勢で言い切った。
「この世界でも日本有数の商業都市やろ」
「はい、巨万の富産んでます」
「物凄いもんです」
二人は芥川にこう答えた。
「それはわかってましたけど」
「ちょっと他のことで」
「物事は優先順位があるんや」
芥川は自分達の事情とやってきたことを話す二人に諭す様に述べた。
「やっぱり政も戦も大事なんはや」
「お金ですか」
「それがあってこそですか」
「そや」
まさにと言うのだった。
「それがあってこそやからな」
「それで、ですか」
「まずは何といってもですか」
「堺を手に入れるべきやったわ」
是非共というのだ。
「ほんまにな、けど今からでも遅くはない」
「ほな堺をですか」
「手に入れますか」
「そうしてくで」
こう言ってだった、芥川は正式に大坂城そして摂津、河内、和泉の三国の主となりそのうえで政にあたることになった。主の座を譲った佐藤兄妹はそのまま彼の下に入った。
ページ上へ戻る