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夢幻水滸伝

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第六十六話 過去その十

 芥川はまずは三国の政の状況を見た、そうして彼は二人にこう言った。
「農業も商業も工業も出来てるやないか」
「はい、まずは内政ですから」
「それでやってました」
 二人は芥川の問いに答えた。
「三国の豪族を併呑していって」
「どの戦もあっさり終わりました」
「僕等が出陣して神器を使ったら」
「苦労せんで勝ってきました」
「それで悪い連中も退治してです」
「三国を治めていました」
「それは何よりや、やることはやっててんな」
 芥川は二人に笑って述べた、今狐は彼の傍には出ていない。三人だけで話をしているのである。
「ええこっちゃ」
「あと技術も上げてます」
「前の瀬戸内海で漁業もやってます」
「結構豊かな筈です」
「それで軍を姫路に向けてます」
「そうか、ほな兄妹のうちどっちかが姫路を目指してな」
 そしてとだ、芥川は二人に話した。
「一人が大坂で留守番や、そして僕はや」
「堺に乗り込まれて」
「それで、ですか」
「その中原と話してな」
 そうしてというのだ。
「一緒にやってく様にしてく、あと山城の方やけどな」
「はい、あの国ですか」
「都のある」
「あそこにも確か勢力があったな」
 芥川は目に強い光を宿らせて二人に問うた。
「そやったな」
「はい、三年の紫綾乃さんがです」
「あの人が棟梁になってです」
「生徒会長の太宰さんや二年の夏目さんも入って」
「かなりの勢力になってます」
「もう近江や若狭まで進出したとか」
 二人は芥川にそちらの勢力のことも話した。
「丹波にも兵を送るとかいう話もあります」
「綾乃ちゃんか」
 紫綾乃と聞いてだ、芥川は今度はその目を鋭くさせた。
 そしてだ、二人にこう言った。
「あの娘とは同じクラスや」
「あっ、そうなんですか」
「先輩のクラスメイトですか」
「明るくて優しくてええ娘や。それで太宰もおるか」
「はい、あの人もです」
「こっちに来てます」 
 二人はその太宰のことも話した。
「何でも政治家として辣腕振るってるとか」
「凄いらしいです」
「そやなんな。まあ堺と話してな」
 それからだとだ、芥川は二人にこう答えた。
「そのうえでな」
「山城の方ともですか」
「話してみますか」
「そうするわ。綾乃ちゃんと協力出来るか一つの勢力になれたらな」
 その時はというのだ。
「かなりのもんやからな」
「若し話が収まらんかったら」
「その時は」
「それは堺でも同じやけどな」
 この言葉を前置きとして置いてだ、芥川は二人に答えた。
「政の手段の一つを使うわ」
「戦ですか」
「それになりますか」
「そうなる、正直戦はせんに限る」
 芥川は戦をすることについては否定的だった、それは言葉にはっきりと出ていた。
「準備の時点でめっちゃ銭がかかるしな」
「はい、そやからです」
「私等も豪族取り込むのは話中心にしてきました」
 二人は芥川にまたこれまでの自分達のことを話した。 
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